2015.11.20≪第5話≫ ダビット先生のドイツ情報局 【ドイツの交通事情】

東京で暮らしていると、電車に乗らない日なんてそうそうないですよね。鉄道や地下鉄は便利で、わかりやすくて、タイムリーです。ドイツとは大違い・・・

生真面目で時間を守るイメージのあるドイツ人ですが、電車はどうも時間にルーズです。遅刻も多いですし、ひどいときはアナウンスすらなく、ホームで待っていても電車が来ない時は自分で「どうなってるんですか?」って駅員に聞きに行くこともあり、「あ、遅刻ですよ〜」って返されたりします。東京の便利さに比べると「なんて最悪」って思うかもしれないけど、みんな慣れています。「またか〜」ってあきらめがつくんです。でも、もちろん移動するのに電車は便利なことは便利です。長距離でも割と安く行けますし、外国のオランダ、フランス、オーストリアなどにも電車で簡単に行けちゃうんですよ〜。…
節約が大好きなドイツ人が喜ぶチケットの種類も様々あります。Tagesticket(ターゲスティケットゥ)という「一日乗り放題切符」もあったり、その中にはグループ用のものもあり、大人5人+大型犬一匹まで使えるチケットのことです。(←そう、犬もチケットは必須!)25歳までの学生にはチョコレート程甘い、なんと定額で使える「Schokoticket」(=チョコチケット)もあったり、サービスは結構充実してますよ〜 生活保護受給者が割引で乗れるとか、重度の身障害のある方は無料で乗れたりとか、いろいろ社会面では優れてると思います。しかもチケットを電車だけじゃなく、バスにまで使うことができます。つまり、改札がなくチケットが吸い込まれないので、行き先まで公共交通機関を全部使えます!やっぱり鉄道会社は魅力的なサービスで乗客を引っ張りたいのですね!だって…
実はドイツは基本的に車社会なんです!18歳でまず免許をとるのがもう常識!車はですね、日本と逆の右側車線です。一般道路の他、Landstraße(ランドシュトラーセ=国道)とAutobahn(アウトバーン)という高速道路があります。アウトバーンは噂の通り、スピード制限なしです!!想いっきり飛ばしたい人は高速車線、うちの母のようなのろのろ運転で後ろからぷーぷーされるような人は「追い越され斜線」(←造語)、ですね。車好きな人には風の様になれる、「スピード天国」なアウトバーンですが、実際まだ天国に行かないように安全運転を心がけましょうね…!
ちなみにドイツのアウトバーンは今のところずっとタダです!(といっても政治家の間で通行料金を導入するかどうかの議論もあります)日本で初めて見た料金所は、子どものときにまだあった、車で国境を超えるときに通過する旅券チェック・ブースにとても似ています。今はEUになって国境をそのまま止まらずに通れますけどね。
車社会だからこそ、環境保護の取り組みは、たくさんあります。例えば人口密度の多い都心近くの地域の空気もキレイに保てるように、所々Umweltzonen(ウムヴェルトツォーネン=環境ゾーン)を作っています。今はドイツには48カ所が設けられています。車の車検で排出量が調べられて、結果により緑か黄色か赤の「環境プレート」をフロント窓に取り付ける義務があります。信号式と同じく、緑と判定された車はどこを走ってもいいんですが、黄色と赤は制限があります。いきなり「ここからは環境ゾーン 緑!」という表式がドンと現れてしまえば、足止めを食らっちゃうか、勝手に通り抜けて違反で罰金を食らっちゃうか、という選択肢はあります。だから環境に優しい車を持つのに超したことはないですよ〜 あとは大手車メーカーが環境保護を無視しないで、車のスペックを信用できればいいのですが。特にVで始まってWで終わるやつですね…
確実に環境に優しい乗り物といえば、ドイツ人に大人気のFahrrad(ファーラート=自転車)です!利用者数はお隣の素敵な自転車大国オランダには負けますが、ドイツ人もできるだけ自転車で通学や通勤をしたい人が多いです。そのために仕事場や学校の近くに住む人も少なくないのです。
当たり前ですが、自転車でも、交通ルールをしっかり守らなければいけません。ドイツでは小学校3年生のときに自転車の免許を初めてとります。車の免許と同じ様に、交通ルールを覚え筆記試験を受けて、その後は警察との協力で実技試験があります。数分間隔で一人ひとりの小学生が覚えた道のりを初めて完全に一人でチャリで走るんです!なかなかドキドキしますよ!所々警察に見張られながら、左折前は左手をのばし、右折前は右手をのばし、そうやって車のウィンカーと同じく曲がる方向を示さなければいけないのです。こういった自転車ルールは大人になってもみんな自分の安全のために、やっています。ドイツ人の日常生活で欠かせない自転車ですから自転車専用の道路が設けられています。もしない所があれば、歩道じゃなくて車道で走るのがルールです!自転車の交通違反でも、下手したら一時的に車(!)の運転免許書を没収されることもあります(特に自転車の飲酒運転の場合!)。
数年前に多くの交差点をわかりやすいロータリー式に作り替えて、そうやって事故防止もしています。
自転車に乗ると青空の下で新鮮な空気も温かい日差しも気持ちがよくて、気軽にどこでにも行ける自由を感じられるのでドイツ人は自転車が大好きです。
ボクもずっと自転車派でしたが、東京ではやっぱり電車ですね。あなたはどっち派ですか?
Bis nächste Woche!(また来週!)

「環境ゾーン表式」とドイツの道路(ロータリー式)「環境ゾーン表式」とドイツの道路(自動車専用道路)