2020.2.28許先生の中国・中国語情報局【中国の医学】

みなさん、こんにちは。大家好!

欧米・アジア語学センター、中国語講師の許です。
今日のトピックは、「中国の医学」です。

新型コロナウィルスが流行して、有効な治療法が模索されている中、中医学の薬(漢方薬)との併用が有効という朗報が届いて、ウィルスへの恐怖を少しだけ減らせるようになりました。これからもどんどん患者たちを治してくれることを願っています。

中医学(中国伝統医学)の発祥はおよそ4000年にさかのぼります。中医学は広大な中国大陸で、異なる風土・環境の中、長期にわたる疾病との闘いの経験を総括したものです。前漢の時代(紀元前200年頃)には医学書として「黄帝内経(こうていだいけい)」がまとめられました。その後、後漢の時代(~250年頃)に「傷寒雑病論(しょうかんざつびょうろん)」が張仲景(ちょうちゅうけい)により編纂されました。この二つの書が中医学の理論の原点となっています。

父方の親族たちはほとんど中医学の先生、また父も中医学に詳しいので、育てられた環境は中医学の家庭と言っても過言ではありません。今日は、わたくし個人の暮らしや経験から学んだ中医学とは、どのようなものかを理解していただきたいと思います。

・未病先防

この言葉はいい意味で耳からタコができそうなほど父から聞きました。調べたところ、「未病先防(みびょうせんぼう)」とは、養生法により、病気が発症する前に体質を見ながら対応していく、 未然に防ぐという考え方だそうです。又は病気にかかりにくい体質を作る「予防医学」という中医学独特の考え方です。

「ここが痛いっ!」と父に言うと、必ず「どのような感じの痛みなの?もっと詳しく言って」と言われたり、テレビ電話をするときも、私の顔を見て「最近〇〇がよくないね、気をつけて」とアドバイスされたり、自分の体にある変化を細かく観察することは我が家の一つの特徴です。

人間は自然の万物の一員でしかありません。自然界から様々な影響を受けて、人間自身は自然とのバランスの中で調和されます。人間の体の中も一つの世界で、内部の調整・調和もよく行っています。体外と体内の調和が一致したら、健康で長生きできると、よく父が言っていました。

我が家は季節ごとに、起きる時間が異なります。比較的に春と夏の方が早起きで冬のときに少し遅れて起きます。飲食習慣については、あっさりしている味が定番で穀物・野菜・豆類・お肉(主に牛肉、豚肉と鶏肉少量)・魚類など基本的に旬の野菜や果物を食べます。朝とお昼はお肉類などを食べますが、夜はお粥、スープなど少量食べます。そして揚げ物系とポテトチップスなどのお菓子とコーラは禁止です。飲み物は暖かいお茶かお白湯などです。親がよく言っているのは、いくら美味しくても食べ過ぎてはいけないという言葉です。いわゆる「腹七分」です。外食はほぼゼロで毎日欠かさず運動をします。今書いた生活習慣は単調で厳しいと言われそうですが、実際にやってみて本当に体の状態が良くなると言ってくれた友達もいて、それを聞いて嬉しかったです。

・五行と体

「未病」のほかによく耳に入ったのは「五行」です。もともと五行とは自然界の森羅万象を「木」「火」「土」「金」「水」の自然界の代表的な5つに分類した哲学ですが、中医学では人間は自然界の一部だと考えていて、この哲学を人間のカラダに応用して、同じようにカラダを大きく5つに分類しました。これが「五臓」という考え方です。五臓にそれぞれ「肝」「心」「脾」「肺」「腎」という名を付け、カラダを支える5本柱として中医学では昔からとても重要視しています。

肝臓を例にしてご説明します。肝臓は五行の「木」に属しています。循環・代謝・発散・排泄・解毒などをコントロールする役割と、感情をコントロールする役割と血液を貯蔵する役割があると教わっています。中医学の「五行学説」では春も「木 もく」に属し、自然界のすべてのものが伸びやかに成長し、新陳代謝が活発になる季節です。人間の身体も同様、新陳代謝が活発になり冬に溜まった老廃物を出します。なので、春は肝の働きが他の季節以上に必要となり、肝が疲れやすくなります。それに、肝臓は人間の感情をコントロールする役割をしているため、精神的な病気の患者さんたちは春の時に辛くなるわけです。従い、春の時に、肝臓を養うことが大事です。

・喜怒忧思悲恐惊(喜怒憂思悲恐驚)

中医学では、怒・喜・思・憂・悲・恐・驚の7つの情緒変化を『七情』とよび、これらの感情が強すぎたり、長期間続いたりするとさまざまな病気を引き起こすと考えます。人間は生きている限り、欲望や望みがあり、情緒が変化することは避けられません。どうやって平常心を保つかが課題です。それについて、親と討論したこともあるし、父方のおじいさん(中医学の先生)にもお話をいただいたこともありますが、まだ分かりません。なぜかというと、わたしの家族は皆ゆったりした性格で、中医学の世界に長年携わっているから、「なるようになる」そのような気質になったと感じています。私的には、悲しい時に、長く泣きすぐないことを心がけているだけです。(苦笑)

中医学について全く素人で主に個人の体験から簡単にご紹介しました。前述した生活習慣などはあくまでも、わたくしの家の習慣です。

ご参考程度になっていればと思います。

それでは、また今度よろしくお願いします。下次见!