2015.12.4≪第7話≫ ダビット先生のドイツ情報局 【ドイツの教育事情】

Hallo!

実はつい最近30路に突入しました。学生生活がまるで昨日のような思い出ですが、意外に時間経っちゃってるなあとしみじみ思ったりしてます・・・
でも今日は学生時代をいろいろ思い出し、ドイツの教育事情について書きたいと思います!
ドイツは学歴社会です!勉強するのが命。義務教育は9年、高学歴の人は最低12年、最大寿命までです。そのわけを説明します…

でもまず基本的なこと。ドイツの学年は日本と違って夏に始まります。夏休み中に交通が混雑しないように州によって夏休み期間を毎年多少ずらしているので、時と場合によって8月か9月に授業がスタート。
そして学生服はありません。ドイツ人は「みんなで同じ」が歴史上の理由から怖くて、「イエーイ個性バンザイ!」的な文化です。髪の毛を虹色に染めても、大人かわいいメイクをしても、入れ墨を入れても学校のルールに反しません。ボクも高校の時にゴシックだったので、黒ずくめで白メイクの吸血鬼のような少年でした…

さて、学校システムですが、Grundschule(グルントシューレ=小学校)に入学するのは基本的に6歳ぐらいのときです。小学校は4年生までです。基礎をしっかり学び、その後は進学します。その進学先は何事もなければ大学までもう変わりませんので大事に選びたいですね。進学する学校システムは3つあるので、そちらからの選択になります。
それはRealschule(レアールシューレ=実科学校)、Hauptschule(ハウプトシューレ=基幹学校)とGymnasium(ギムナジウム)があります。
Realschuleは義務教育のみ、16歳で卒業し職業訓練を受けるなどする人が行きます。Hauptschuleも同じなんですが、Realschule程レベルが高くないです。
一番レベルが高いのはGymnasiumです。ギムナジウムでは5年生〜13年生まで勉強します。つまり日本でいうと小5〜高3(+1年)までずっと学校が変わらないようなものです。10歳〜19歳までの子どもがいるわけですね。日本の高校生の学年に当てはまる先輩は、新入生のパトロンになって、学校を案内したり、困ったことがあれば助けたりします。高学年の希望者はStreitschlichter(シュトライトシュリヒター=喧嘩解決サポーター)という訓練を受けて、小中学年の学生の喧嘩やイジメ防止に取り組んでいます。
ギムナジウムの最初の2年はErprobungsstufe(エアプローブングスシュトゥーフェ=試験学年)と呼ばれていて、本当にこのギムナジウムのシステムについていけるか、試しの2年間です。もし難しければ、少しだけ易しいRealschule(上記のね↑)に編入します。
逆にRealschuleで優秀な人はレベルの高いギムナジウムに編入することが可能です。
ギムナジウムの特権は、卒業さえすればそのまま大学に進学する権利です。そう、入試はありません!でもその代わりにギムナジウムの卒業試験はとても難しいです。点数がよろしくない人は卒業試験を延期したく、希望して留年することもあります。なぜかというと、卒業試験の成績が希望している大学の学問に入学するための資格になるからです。その資格になる卒業試験の名前はAbitur(アビトゥア)。通称Abi(アビ)です。ドイツの法律ではアビの取得によって大学で勉強ができる保証があります。といっても、例えば医者になりたければ超優秀な卒業成績を持っていないと医学部に入学することはなかなか難しいです。大学が平均点数を指定し、定員になるまで優秀な人からとるからです。その指定の平均点数はNCと呼ばれています。希望の学問のNCに届かなくても、確かにまだ方法がありますが・・・NCがぎりぎり惜しい人用の「待ちリスト」があります!毎年大学が定員数のうち、数人を待ちリストからとります。待てば待つ程リストの上位に上がるので、結局数年後に入学するチャンスはやってくるかも!?ただ、毎年「待ちリスト」に登録する人がいて、こちらも良いNCの順でとるので、本当に成績が悪い人は何年待っても希望通りにはいかないでしょう…。そうするとNCが求められない学部を選ぶしかないですね。希望通りの進路ができるようにアビのためにしっかり勉強していい卒業成績を持った方がいいですよね!
アビトゥアのための準備期間は大学に行く前の3〜4年間です。10年前、ボクが学生の時はまだどこでも4年制でした。つまり日本でいうと高校3年+1年間長く学校に通うのが一般的で、学生生活が計13年でした。しかし国際的に合わせようとして無理矢理政治家は12年に短縮するという法案を通しました。勉強の詰め込みが増えたので「昔の13年に戻した方がいいんじゃないの」という声も出て、今は12年か13年のどちらかはそれぞれの州や学校によって決められるようになってます。
とにかくアビ期間に入ると、これからの進学したい路線をイメージした時間割をある程度自由に組むことができます。必須科目は数学、国語、英語、体育、それ以外選択できるのはその他外国語(特にフランス語が多いですが、学校によって異なります)、宗教又は哲学&道徳、政治学、歴史、教育学、化学、情報科学、物理学、生物学、美術、音楽、演劇です。移民が多いので彼らのためだけに母国語の授業が用意されているケースも多いです(特にトルコ語)。
「理系」か「文系」という重点も選択しなければいけません。それによって卒業試験の内容が違ってきます。例えばボクは重点が「文系」だったので、文系の科目2つで卒業試験を受ける必要がありました。偏らないように理系の卒業試験も一つを受けるのが必須で、あとは自由選択科目の試験一つの計4つの試験科目ですね。国語(ドイツ語)と英語と、理系でまだ何となく理解できた「生物学」と、選択科目では「教育学」を選びました。その4つの科目のうち、3つは6時間をかける筆記のアビ試験を受けることになります。もう一つは口頭試験になります。ドイツの学校には選択肢問題の試験が全くないので、試験ではいつも論文を書かなければいけません。卒業試験だけではなく、普通の試験も3時間程度の論文です。もちろんその時間に相当する濃さの文書を書かないとまずいですね。だからずっとひたすら書くんです…手も頭も痛いですよ〜でも試験は長いということで、試験中にご飯は食べていいのはありがたいです(笑)

ギムナジウムを卒業したらいよいよ大学入学ですね!日本でびっくりしたのは、大学生は授業中に寝たり、勉強しなかったりするということです!ドイツでは見かけないですね…大学も高校と一緒で、卒業するのが大変ですし、卒論にすごい時間がかかるので、最初からしっかり勉強しないと難しいみたいです。学費さえしっかり払えば卒業できることもありません。
だってドイツの学校は小学校から大学までどれも基本的に無料なんです。教育はみんなが持つ権利で、格差がうまれてはいけないと考えられています。数年前は一時的に大学の学費が導入されていたけれども、もう廃止になりました。ドイツ人がみんな「高すぎだろ!」と口を揃えて文句をたらしまくった額が、日本円で言うと10万円ぐらいです… 当然、自分が日本で専門学校に入りたいと親に明かしてへらへら値段を言ったとき「高すぎだろ!何考えてんだ!」と激怒されました…。でもドイツでは25歳までの学生に国からの生活支援金が出て、ボクはもう日本で自力で一人暮らしをしていたので、親がその支援金をボクの学費に当ててくれました。それだけで学費が賄えるような金額ではないんですけど、学費のために貯金する文化がないので、助かりました。もしそういう支援がなければ日本で学生ができなかったに違いないですね。本当に感謝です…!

ちなみに、ドイツでは学費がかからないからこそ、いつでも大学に入ることができるし、ずーっと寿命がくるまで学生を続けて勉強マニアな生活もできます!そもそも大学は期間が日本と違って4年に決まっていないので、途中で休学し海外に行って、また戻ってきて前に取っていた講義を1、2年後に受け続ける人がたくさんいます。大学院通いや様々な研修、学科が合わなかった場合の別の学科への編入や、勉強に要する時間の総合を考えると、卒業して仕事を始めるのも日本よりだいぶ遅く、27か28歳ぐらいが普通という感じです。大学に行かず勉強より技術を磨き、手に職を持ってる人はもちろん、もうちょっと早く始めますけどね。
そうやっていつでも自由に勉強できるドイツです。あなたもドイツで学生生活にもどりませんか?(笑)まずはドイツ語から、ぜひ♪

ドイツの学校

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