2015.12.12≪第8話≫ ダビット先生のドイツ情報局 【ドイツ人の国民性】

Hallo!

今日のテーマはドイツ人の国民性です。正直、とても悩まされるテーマでした…「基本真面目」ということで、日本人とドイツ人は気質が似ていると言われていますが、どれほど似てますでしょうか?

まず、日本語では「国民性」という言葉を日常的に使いますが、ドイツ語に訳すと「Nationalcharakter」というような言葉になります。どうもドイツ人は「Nationalcharakter」をポリティカルコレクトネス的にそんなに使いたがらないと思います。みんなを一つにまとめるということに違和感があるドイツ人は多いような気がします。多国籍だからというのもありますし、元々地方によって方言や文化などいろいろな違いがあるということもあるでしょう。

日本でも、地方によってだいぶ気質が違いますよね。いきなり個人的な話ですが、実はボクがお付き合いしてる人が沖縄の人で、日本人をイメージした性格は一つも持ち合わせていないんですよ… まず時間にルーズでしょう。濃い味の食べ物が好きでしょう。結構適当だったりするし… それでも日本人です!たとえば関西だって言い方ははっきりしてて、関東ともまただいぶ違いますよね。料理の味だって違います。それでもみんな日本人です。
日本は東京という中心がありますからイメージがつきやすいけど、東京=日本ではないと思ってるので、「国民性」というものは、もしかしたらないんじゃないかなと思いました。
ドイツはベルリンが首都でも、東京のような「中心」ではないです。だからドイツの色々な文化はまとめにくいです。伝統的なドイツの「国際イメージ」に一番近いのは南ドイツのバイエルン地方だと思います。でも日本を代表できる「ザ・日本人」は存在しないのと同じ様に「ザ・ドイツ人」も存在しないと思うんですよね…。

その考えを持って、「ドイツ人の国民性」っていったい何だろうと思って、結局ネットで調べたんですけど、やっぱりドイツ人は個々の違いを大事にしたい国民だという記事をいくつか見つけました。地理的にヨーロッパの中心部にあり、昔から人が行ったりきたりしていたからという説もありました。ドイツでは、「人それぞれの違い」を大事にするようになったのも、第二次世界大戦での過ちと関係しているとボクは思っています。結局「国民性」みたいなものがもしあるとするならば、それは育った環境や歴史上の連帯運命から生じると思うんですよ。だから今のドイツ人(=移民を含めドイツに生まれ育った人々)には、それぞれの感覚を大事にする傾向がより強いと思います。
それがもしかしたらドイツの「国民性」なのかもしれません。そしてこうやって難しく物事を考えることも、ドイツ人らしいといえばドイツ人らしいですね。ドイツは哲学的な国ですから。何でも当たり前と思わず、問います。どんなことでも、自分の意見を持って主張します。意見が合わなくても、それが討論にもなりますし、場合によって口喧嘩にまでなってしまいますが、結局また何もなかったかのように仲良く過ごすんです。外国人はびっくりするでしょうね、パーティでいきなり喧嘩のような場面に遭遇したら。でもそれがコミュニケーションの一つです。意見があれば伝えたい。その繰り返しで物事を違う視点から考えるチャンスも増えます。だからドイツ人は難しい話題を意外に好む気がしますね…
もちろんドイツ人がみんな相手の意見を必ず受け入れるというできた人間ばかりではないんですけどね。自分の意見を強く持つのも一つの特徴です。つまり頑固なわけ。日本の、意見が違っても「そうなんだ〜」って聞き手だけになる我慢強さ(?)はないからこそ、逆に空気を読まずに雰囲気を悪くすることも多々あります…。日本人は「和」を保つのが上手です!
って、いきなりドイツ人はこうで日本人はああでという話をなってしまいました。「国民性」というのはやっぱりあるんでしょうか?

「国民性」のような言葉を使うと戸惑うドイツ人ですが、実は「いかにもドイツ人らしいところって何だと思う?」という軽い言葉に置き換えると、いきなりいろいろ出てくるかも!?(笑)
多くのドイツ人はtypisch deutsch(=いかにもドイツ人らしい)ところをちょっと悪く言うと思いますけどね。「文句が多い」とか。「真面目すぎる」や「頭がかっちかち」とか。でも外国人に聞くと、最初に出てくる言葉がだいたい「几帳面」「信頼できる」「フレンドリ」「自由」とかいう答えが出てきます。(お世辞じゃありませんように(笑))外国人が持つ悪い印象は「ケチ」みたいです。

ドイツ人は「文句が多い」とはボクも思います。それはクレーマーとかじゃなくて、社会システムの理不尽の改善を求めての文句が多いと思います。そして休むのが大好きなドイツ人だから、仕事の文句がとても多いです。家族との時間が一番だと考えられているのでどうしても口走ってしまいます。それでも、仕事場では黙々と真面目にやっています。
褒め言葉に少しだけ触れたいと思いますが、「几帳面」はきっとドイツの整理整頓の潔癖さから出てきます。簡単な例で言うと、ゴミ箱をキッチンのシンク下の棚の中に隠して見えなくするぐらい奇麗好きなんです。うちはゴミどころか、ゴミ箱すらありませんよ〜的な。「自由」は多分ビーチやサウナでの混合ヌード文化とか表現の自由から来ていると思いますが・・・
さて、「ケチ」についてですが…「ケチ」というのは裏表があるとボクは思います。日本に来て、ドイツのことを少し客観視できるようになったんですが、ドイツはやっぱり徹底的に節約する人が多いと実感しました。それはお金の節約もそうですが、環境のことを常に意識するように育てられているんです。ゴミの仕分けをちゃんとしない人に対してイライラするような気持ちは日本人もよくわかると思いますが、実はこっちに遊びに来たドイツの友達全員が日本のあることに対してイライラしました… それは、ビニール袋の多さです!スーパーで「袋は要りません」と言っても、野菜や果物をそれでも小さな保存袋のような袋に入れられるじゃないですか。「意味なーい!」と心の中で叫ぶのはドイツ人です。チョコレートを買って開けたら、チョコ粒一個ずつが奇麗に包装されていることも、「わーかわいい!」ではなく「包装紙の無駄!」と頭にくるんです。これは大げさではなく本当に衝動的に感じますよ。教育ってすごいですね… ペットボトルもドイツ人は自販機で全然買わないですね。水筒に入れて持参する習慣が根付いています。ボクは自販機を使うのは日本で初体験でした。ドイツでは、家庭用の2リットルのペットボトルは、買うときにデポジット金を払います。空になったペットボトルをスーパーに返すとデポジット金が戻ります。そうやって意識の低い人のリサイクルも保証されています。(出た、ドイツのルール化!)それぐらいエコが徹底しています。それでか、日本人と付き合ったことがあるドイツ人もみんな口を揃えて言うのは、「夏でもお湯でシャワーを浴びて、出てきてクーラーをガンガンかけるのは理解できない!水風呂でいいじゃん」、「部屋を出るとすぐ電気を消してほしい!」とか倹約家の喧嘩要因ばっかりです。これは、まあ確かにケチに見えますね。でも環境のことを思っているからです!

しかし!ドイツ人は本当にケチだなあと日本に来て思ったのは、みんなで外食したりお金を出し合うときです!ドイツ人は個人主義が強く、基本的にレストランとなどで自分の空腹度や予算に合う一品を頼んで、シェアせずに食べるのが主流です。でも日本ではいっぱい頼んでみんなでシェアするのが一般的ですよね?以前、たまたま出会ったドイツ人のグループと日本人のグループと食事に行ったある日を例に出したいと思います。みんなで居酒屋でご飯を食べることになりました。長く日本に暮らしていて、言葉もしゃべれていざというときに通訳できるのは自分だけでした。お会計のときに、いきなりいろんなドイツ人が「俺これ食べてない」「私はあれ食べてなーい」と言い出して、全部を割り勘にするのを嫌がっていました。冷や汗をかきましたね!ドイツなら1円単位まで割り勘するのは普通(デートをのぞいてね!)。だけど日本では、こんなことはできない。今お金がピンチだから、食事中に我慢してわざわざ小食で済ませたドイツ人もいたのかもしれない。それでも最後にみんなで割り勘で払わせるはめになっちゃうというのも想像ができました。同時に、そんなけちくさい割り勘をすると気持ちよくないし、せっかく楽しく過ごしたのに微妙な雰囲気で終わる、と日本人はいかに白けるかもイメージできました。通訳の自分はとても困った状況でした。結局は、ここは日本だからということで日本風にしましたが… みんながしぶしぶ割り勘で払いました。そのとき初めて、やっぱりドイツ人ってお金にはケチなんだなあと思いました(笑)自国を離れてみての悟りというか。
そうやってやっぱり育った国の文化による癖が誰にだってあると思います。それが「国民性」でしょうね。

どうでしょう?日本とドイツの国民性が似てますか?
どちらにしても、母国の風習ってなかなか抜けませんが、お互いから学べることはいっぱいあると思います!世界を知るっておもしろいですね♪

ドイツの女性サッカーボールを持つ女性イラスト