2015.12.18≪第9話≫ ダビット先生のドイツ情報局 【ドイツの宗教事情】

Hallo!

冬が寒くなり、街中にキレイなイルミネーションが灯り、クリスマスツリーが飾られ、ますますクリスマスモードに入っちゃってますね。毎年懐かしい想いをするこの頃♪

でもちょっと待て!日本はキリスト教じゃないのに、なんでこんなにもクリスマスが浸透しちゃったんでしょう??だって「クリスマス」というより「キリストマス」ですよ!?つまり、イエス・キリストのお誕生日です!

ドイツではクリスマスをWeihnachten(ヴァイナハテン=清しい幾夜)と言います。
日本では25日が過ぎたら、たったの一瞬でクリスマスがお店や心から消えてしまいますよね。だけど、本当は24日のHeilig Abend(ハイリヒ・アーベント=聖なる夜、イブのことね)がクリスマス・タイムのスタートです!その前のWeihnachtsmarkt(ヴァイナハツマークト=クリスマス・マーケット)やリースにろうそくをつけたりするなどの一ヶ月は、気持ちを高めるための「心の準備期間」に過ぎません!
キリスト教ではいかに大事なイベントか、伝わりますよね。

Weichnachtsbaum(ヴァイナハツバウム=クリスマスツリー)もクリスマスの直前にやっと家にあげて、暖色できらきら飾ります。もみの木の香りに包まれながら、イブから家族と集まってプレゼント交換したり、手作りクッキーやみかんを配ったり、一緒にゆっくり食事したりのんびり過ごすのはドイツ・スタイルです。そして25日はいよいよ本番のWeihnachten!ドイツではサンタじゃなくて、Christkind(キリストキント=キリストチアルド)という聖霊がやって来るのを待ちます。

で、実は26日は2. Weihnachtstag(ツヴァイター・ヴァイナハツターク=第2のクリスマス日)で、前日に会えなかった親戚と会ってお祝いをします。クリスマスは3日セットで、日本のお正月みたいな感じですね!

聖書ではイエス・キリストがエルサレムで生まれたとき、とても明るい星が夜空に光り出し、東方の三博士(、新約聖書に登場し、イエスの誕生時にやってきてこれを拝んだとされる人物。)が神様の子供に会いに星をたどって、やっと1月6日にたどり着き、キリスト・チャイルドに会いました。その日はHeilige 3 Könige(ハイリゲ・ドライ・ケーニゲ)と言い、クリスマス・タイムの終わりを印します。つまり本当は12月24日〜1月6日は絶賛クリスマス期間中です!

その最終日は合唱団に入っている小学生が東方の博士のコスプレをし、町中の家を回って、一つ一つの家でベルを鳴らし、玄関で奇麗な歌声で新年の挨拶をしてくれます。
そのときうちは例年、「やべ!東方の三博士だ!」とみんなのむくんだ顔が凍り付く頃です。寝正月モード真っ最中でいつも家族全員で夜更かしの連続だから、午前に彼らがピンポンしてくると何度もパジャマ&寝癖姿で恥ずかしく「ど、どーも、えへへ」と迎えています…。でもこりがありません。だってせっかくクリスマスの祝日〜1月6日の間お休みをいただいてるんですから。そう、Heilige 3 Königeの日はゆっくり寝られる休み期間の終わりも意味します。

このエピソードだけでも想像できると思いますが、ドイツはChristentum(キリステントゥーム=キリスト教)信者が多い国です。
国民の約60%はキリスト教です。そのうち、半分ぐらいがカトリックで半分ぐらいがプロテスタント。そして国民の30%は無宗教です。残りの10%は他宗教で、その中で最も多いのは約5%でIslam(イスラーム=イスラム教)です。残りの5%の中ではJudentum(ユーデントゥーム=ユダヤ教)とBuddhismus(ブディスムス=仏教)が一番多いのではないでしょうか。そんなに多くないけど、よく私達も忘れないでって顔出しにピンポンしてくるのはエホバの証人です。

地方にもよりますが、基本的にカレンダーの祝日や行事などはキリスト教が基礎となります。日曜日が必ずお休みで、お店も全部閉まっているというのも、宗教由来です。宗教は政治政策に関与しないと言いながらこういうことが法律で決まっています。日曜日は休めと。

でもイスラム教も、移民が多くすごく身近に感じるので、Ramadan(ラマダン=断食)期間やその終わりにあるZuckerfest(ツッカーフェスト=砂糖祭り、トルコ語からの直訳)にもみんな配慮しています。イスラム教では食べない、豚肉の入っていない料理もお店で多数用意されていますし、モスクも結構建っています。スカーフを顔に巻き髪の毛を隠す人もいっぱい見かけます。

しかしこのスカーフが問題視をされる場合もあります。たとえばスカーフを巻いている方が公務員や学校の教師等の場合、宗教の押しつけになってしまうのでとるべきではないか?という議論が昔ありました。いくつかの州ではプライベート以外でスカーフ禁止法を通そうとしていました。でもそんなことを言ったら、キリスト教の人だって十字架のネクレスはやめるべきなのでは?と反対の声があがってきました。そしてフェミニストが介入し、スカーフは女性差別だと言い出し、すごい議論になりました。でもイスラム教の女性は自らスカーフを巻きたいと答え、法律も結局通らず、最終的に「スカーフが巻ける」というのが逆に彼女たちの「自由の印」になりました。

こうやって多宗教だからこそ、向き合い方についていろいろ考えなければいけないことがあります。無宗教の30%はその度に「宗教なんて失くせば問題ないのに」と言います。
しかし信念は心で感じるもの。道しるべや希望にもなるので、信じてしまえば失くすことはしたくもないですし、できないですよね。

ちなみに、ボクはキリスト教の家庭で育ったので赤ちゃんのときに洗礼を受けましたが、自分をキリスト教信者と思っていません。神的な存在はいると思いますが、自分なりの考えがあるので、どの宗教もいいところも悪いところもあると思っているので、どれにも属しません。
キリスト教の家庭で育つと、9歳と14歳ぐらいで2回も洗礼で得た信念を深める行事があり、そのときにあんまり信じないから受けたくないといえば、親戚のおばさま達はショック受けるだろうけど、問題なく拒むこともできます。ボクは今、キリスト教外の信念があっても、当時は迷い、行事を受けました。弟達は二人とも面倒くさいと、行きませんでした。だから今でも彼らに、あのときプレゼント目当てで行事やったんでしょう?と笑われちゃいます…(≡Д≡;)

今時は洗礼を子供に受けさせないで、大人になって自分の考えを持つまで待とうという親もたくさんいます。
そしてうちの父親みたいに、キリスト教でも教会を退会する人も毎年増えています。
「教会税を払いたくないから」「同性愛への寛容に欠けてるから」「妊娠中絶を批判しているから」いろいろな理由があります。それとも父みたいに「離婚したら隣人愛を訴える教会が一番冷たいから」という理由もあります。
でももちろん教会のコミュニティや牧師さんによってモダンさと寛容さにいろいろな違いがあるでしょう。一概には言えません。

ともかくも、ドイツで暮らすと一年を通じてキリスト教はやっぱり行事などで間違いなく触れます。だけど、今になって、クリスマスの本当の意味を知らないでプレゼント交換の日でしょ?と思う人や、2番目に大事なOstern(オースタン=イースター)って何?の人がドイツでも増えてるのも否定できないですね… (ちなみに、イースターはディズニーランドのかわいいイベントではなく、イエス・キリストが死者から復活した「復活祭」ですね!)
だからドイツでも、クリスマスなどが益々コマーシャリズムに利用されて、ただのイベントになってしまう日もいつかくるでしょうね…

まあでも、
宗教関係なく、今年も皆さんに言いたいですね…!

「Fröhliche Weihnachten und ein gutes neues Jahr!」

(フローリヒェ・ヴァイナハテン・ウントゥ・アイン・グーテス・ノイエス・ヤー)

もうわかりますよね?
ドイツ語の「メリークリスマス!&ハッピーニューイヤー!」です。

あ、でも年末はまだ一度更新、あります。気持ちが先走ってました…。
それではBis nächste Woche!
(また来週!)

※1枚は地元の教会で、もう一枚は、去年の実家でのクリスマスツリーです。