2020.4.28中国での敬語表現

みなさん、こんにちは。大家好!
欧米・アジア語学センター、中国語講師の許です。
今日のトピックは、「中国語の敬語表現」です。

日本語には尊敬語、謙譲語、丁寧語という敬語の複雑な体系があります。中国語は日本ほど体系的な表現はありませんが、敬語を表すマナー表現があります。では、中国語における敬語表現の少し独特な面をご紹介します。

・【你好(nǐhǎo)】の敬語表現は【您好(nínhǎo )】

中国語を最初に学ぶ挨拶の【你好】(こんにちは)では、目上の方や年配の方に挨拶する時は失礼にあたります。そのような時は、【你好(nǐhǎo)】ではなく、【您好(nínhǎo )】と挨拶をします。詳しく説明すると、人称代名詞の第二人称に、“你”と“您”があり、この“您”に敬語の意味が含まれます。さらに、応用して、【你好吗?】(お元気ですか)を【您好吗?】に変換して敬意を表すこともいいですね。

・親戚のようになる呼び方

日本では、「苗字+さん(さま)」というふうに丁寧な呼び方があります。中国では、そのような呼び方がなくて、初めて会った人でも親族呼称で呼んで自分の親族ワールドに入れて敬意を表します。

例えば、知らないおばあさんに声をおかけする時に、「奶奶您好!(おばあさんこんにちは!)」をまず冒頭に呼ばなければなりません。また、子供達が警察官に対して、「警察叔叔(警察のおじさん)“叔叔”(叔父さん…父親の弟であるおじさん、または父親の弟くらいの年齢の男性)を使うと敬意が生まれます。親族呼称何もつけずに呼ぶのはとても失礼な行為と見られます。
親しい関係の友人でも、仲がいい職場の同僚でも、みなそれぞれ年上の人に親族呼称で呼び合っています。ただし、全く知らない人への親族呼称と少し異なり、親しい関係の人たちはよく「下名前+親族呼称」で敬意を表して呼んでいます。例えば、私を例にすると、年下の友人(同僚)に「家瑶姐(姐…姉さん)」と呼ばれています。男性の場合は逆に「苗字+親族呼称」の方が普通です。例えば、同僚の年上の李さんに「李哥(哥…兄さん)」と呼んでいます。なので、中国人は初めて会う時に、お互いに年齢を確認する事がよくあります。年上の方にちゃんと呼称を付ける礼儀がありますから。

・マナー表現の【请】【可不可以】

【请】は「どうか~してください」と訳されていて、命令表現の感覚ですけれども、中国語では丁寧な口調になり、ぜひ【请】をつけて言っていただきたいです。例えば、「请你把那本书拿给我」(その本を取ってくれませんか)さらに丁寧に表現したい場合は、【请】より【可不可以~?】(~していただけますか?)とすると、更なる敬意を表せます。

・敬語表現の使用についての認識

ビジネスの場面では決まった敬意を表す表現がたくさんあります。メールを書く時によく気をつけながら、あるいは敬語表現を調べながら書く人が多いです。そして、目上の方や年配の方に敬語表現を使うべきという、考え方が一般的です。

親しければ親しいほど敬語表現を使う頻度が低くなります。身内の関係という認識の中、ずっと敬語表現を使っていると、「なんでわざと距離をとる?」と思われがちです。特に、親友に「ありがとう」を多く言ったら、「遠慮しすぎだよ」と言われました。一方、若者の中では、だんだん敬語表現を使うようになる傾向もあり、私の世代よりお互いに気を遣っている感じがします。

まとめていうと、中国語では体系的な敬語はありませんが、対人関係の中でやはりお互いに敬意を表す敬語表現があります。そして、社会人として敬語表現を使える事が重要視されています。丁寧な言い方をぜひ学びましょう。

来週またよろしくお願いします。下周见!

中国語講師 許 家瑶

筆者・中国語講師 許 家瑶