今回は、「インドネシア語はどんな言語」かについてお話ししたいと思います。インドネシア語「Bahasa Indonesia」の起源は、7世紀にスマトラ東海岸およびマレー半島で広く使用されていたムラユ語「Bahasa Melayu」と言われています。ムラユ語は、当時商売が盛んだったSriwijaya王国を中心にLingua Franca(共通語)としてジャワ語、カリマンタン島、等々に広まりました。さらに、15世紀にイスラム教徒の商売人によってインドネシアに広く普及しました。ムラユ語が、Lingua Francaになった理由は、学習しやすく柔軟性があるからです。
インドネシアに居住している様々な民族がムラユ語を受け入れ、1928年の青年の誓いでインドネシア語に呼ばれ、統一言語として採択されました。1945年にインドネシアは独立し、インドネシア語は正式に国語として憲法で定められました。インドネシア語は、アルファベットで表記され、発音も比較的容易です。また、文法では単数形・複…数形や女性形・男性形の区別、時制変化、格変化などの語形変化はありません。
現在のインドネシア語のつづりは、1972年に定められました。日本人によく知られているインドネシアの初代の大統領「Soekarno」は旧つづりで書かれ、「Soe」の部分は現在のつづりで書くと「Su」なります。「Jakarta」も旧つづりで「Djakarta」と表記しました。また、インドネシア語の語彙を見るとサンスクリット語を始めアラビア語、ポルトガル語、オランダ語、英語や地方言語を由来とする外来語が非常に多く見られます。例えば、awal(始まり)とakhir(終わり)はアラビア語からの外来語です。
日本人にとってインドネシア語が学びやすいのは、インドネシア語の発音が日本語のローマ字の発音に近いからです。例えば「私」を意味する「saya」はローマ字の発音そのまま「サヤ」で正しく発音できます。日本人に馴染みのある発音も多く、例えば「こちらこそ」を意味する「sama-sama」や「だいたい」を意味する「kira-kira」、などがあります。インドネシア語を学習すれば、2億4千万人のインドネシア人だけではなく語源が同じマレー語を使用しているマレーシア人と十分にコミュニケーションができます。
最後に簡単なインドネシア語を紹介したいと思います。インドネシア語の挨拶で「平安、おめでとう」を意味する「Selamat」が多く使われています。例えば「おはようございます」は「Selamat」と「朝」を意味する「Pagi」と組み合わせて「Selamat pagi」と言います。「こんにちは」は「昼」を意味する「Siang」と組み合わせて「Selamat siang」と言います。また、インドネシア語では夕方の挨拶があり、「Selamat sore」と言います。「こんばんは」は「Selamat malam」と言います。インドネシア人に会う時に是非使ってみてください。