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2015.11.30≪第7話≫ バンダラ先生のインドネシア情報局 【インドネシアの教育事情】

皆さん、Selamat siang!! (こんにちは)

先週から急に寒くなりましたね。熱帯国で生まれ育った私にとって最も辛い季節がやってきます。インドネシアにいた時は、四季に憧れましたが実際に体験するとやはり大変です。現在、インドネシアでは長引いた乾季がようやく終わり、雨季に変わってきています。雨季に変わると夕方になれば空が暗くなり、雨が降り出します。私が住んでいるところは2千メートルの山が近くにあるので雷がゴロゴロとよく落ちます。

さて、今日はインドネシアの教育事情についてお話します。まずは、学年の開始月ですが、日本は4月で欧米は9月に対してインドネシアは7月から始まります。もともと学年の開始月は1月でしたが1979年から制度が変更され、7月になりました。理由は、12月から1月にかけて雨季のため毎日雨が降っているので休み中の子供達が外で楽しく遊べないからです。また、年度末と時期が被ってしまい、教育制度の計画が立てにくいからそうです。インドネシアの教育制度は日本とほとんど同じで、小学校6年と中学校3年と高校3年です。義務教育も9年ですが、昨年の政権交代から12年に引き上げるように計画されています。インドネシアでは、小学校から高校まで制服があります。シャツは基本的に同じ色で白いですが、ズボンやスカートの色が変わります。小学校は赤色で中学校は紺色で高校は灰色です。また、各学校に柄が異なる「batik」の制服があります。
※batikとは特にジャワ島が有名な、ろうけつ染の布地の事をいいます。サロンやスカーフなど多様に使われ、ユネスコの無形文化財にも指定されています。

小学生に入学するのは6歳からとなっていますが、あまり厳しくされていないので5歳から入学する人もいれば7歳に入学する人がいます。インドネシアの教育は詰め込み教育です。小学校の1年生から算数や理科などを勉強し、毎日計算の練習をしたり暗記ものをしたりしています。各学期に期末試験があって、その一学期の成績は担任の先生が「raport」という成績表に記入します。期末試験の一週間後ぐらいに「ambil raport」という成績表を取る日があって各生徒の保護者が学校に来ます。また、学年の終わり頃に進級試験があり、ある基準の成績を収めないと進級できず留年してしまいます。また、学校によって飛び級という制度もあり、小学校が5年で中学校が2年高校が2年になります。成績が優秀な生徒達しか飛び級のクラスに入りません。また、日本の学校にはない科目があります。それは「宗教」という科目です。一週間に2時間だけですがその宗教の時間になると宗教別に分かれて授業が行われます。
高等教育機関は5つの種類があり、Universitas(総合大学)、Institut(専門大学)、Sekolah Tinggi(単科大学)、Politeknik(ポリテクニック)、Akademi(アカデミ)です。学士課程をS1(エス・サトゥ)で修正課程をS2(エス・ドゥア)で博士課程をS3(エス・ティガ)と言います。高等教育機関に進学できる人はまだまだ少なくて2014年の時点で14%を下回るそうです。つまり、18歳〜23歳の人口の86%は進学できないという結果になります。進学できない最大の原因は経済的な事です。
インドネシアの階級社会の中で上の階級に行くために教育が一つの手段として使われています。そのため、学位を取ればその学位を名前につける習慣があります。例えば、工学の学士を取得すると「Sarjana Teknik」の略「S.T.」を名前の後ろにつけるのです。今度、インドネシア人から名刺をもらう機会があれば名前のところを見てみてください。

制服です。手前は小学生、真ん中は中学生そして、奥に見えるのは高校生

制服です。手前は小学生、真ん中は中学生そして、奥に見えるのは高校生