2019.12.14許先生の中国・中国語情報局《第6回 中国の食事事情》

みなさん、こんにちは。大家好!

欧米・アジア語学センター、中国語講師の許です。

今日のトピックは、「中国の食事事情」です。

中国の食事事情をご紹介する前に、まず中国のお箸に関する広告をご覧ください。

3000年ほどの歴史を持っているお箸は中国の食事事情に欠かせなく、食事の伝統を伝承することから、食事のマナーなど様々な面で独特の役割を担っています。例えば、中国では大家族が一緒にご飯を食べるとき、おじいさんが先にお箸を持って食べ始めないと他の人は食べてはいけない、というコマーシャルのワンシーンがあります。それは敬老という意で子供の時から教わることです。そして、「迷い箸」「探り箸」「拾い箸」はだめで、特にご飯の上に箸を立てることが墓参りに備えるご飯を連想されるため、やってはいけないことになっています。それに、お箸を噛んだり、舐めたり、爪楊枝用にするなどもすべてだめです。中国のテーブルは大体丸くて大きいのですが、ご飯を食べるときに、手が届かないからといって、立ってお箸でギリギリまでおかずを手繰り寄せるのもマナー違反です。小学校のある日、晩御飯で学校の面白かったことを家族に一刻も早く報告したく、話している途中にだんだん興奮してお箸で人を指してしまい、お祖父さんに「お箸を降ろしてゆっくり話して」と注意されたことは今でも覚えています。こうやって中国の子供たちはそれぞれの家でお祖父さん、お祖母さんにお箸のマナーを教わり、食について初めてのイメージを持つようになるのです。

(豆知識:中国語でのお箸の発音から、「いい子を育てる」という祝福の意味が入っているので、結婚祝いとして上品なお箸を送ることも多いです。)

次に、ご紹介したいのは、中国料理の種類です。中国で最も一般的な区分法は「中華八大料理」に分けられます。それは、山東料理、江蘇料理、浙江料理、安徽料理、福建料理、広東料理、湖南料理、四川料理です。私が食べたことがあるのは、塩辛くて味が濃い山東料理と、香辛料が多く使われて味が辛い、湖南料理と四川料理です。

故郷の料理は前記した料理区分に入っておらず、主にお肉の煮物が多いです。そして、白菜の古漬けも毎年お祖母さんが作っています。白菜の古漬けについて簡単にいうと、菜を秋の末に甕に入れて、塩で漬けて、自然に発酵させて一ヶ月後に出来上がるというものです。出来上がった白菜は酸味が強くてそのままでは食べられません。大体は、冬の鍋物として骨つきの豚肉と一緒に煮込んで家族で鍋を囲んで食べます。



菜の古漬けは中国語で酸菜と言います。東北地方だけの漬物で毎年冬(ちょうど今から)になると、毎週食べるほど一般的なものです。酸菜は、塩加減により家庭ごとにそれぞれ味が違います。たとえ同じ家でも、母が漬けた酸菜とお祖母さんが漬けた酸菜も微妙に差があります。酸菜の他に、胡瓜やナス、人参などの野菜を浅漬ける習慣もあり、故郷の食卓に欠かせない料理の一つです。中国に帰って何が一番たべたいですか?と日本の友人に聞かれると、「お祖母さんが漬けてくれる漬物です!」と即答しました。漬物は東北人のソウルフードであることに反対する人はいないでしょう。

中国語の中に“民以食为天”というよく知られる古文があります。日本語に訳すと「民は食を持って天となす」という意味です。昔、中国人が挨拶する時に「ご飯食べた?」とお互いによく聞いていましたが、それは、日常生活の中でそれだけ食が重要視されていて、深い愛情を持たれているということだと思います。

以上は、今回の中国の食事事情の内容でした。また今度お会いしましょう。下次见!

中国語講師 許 家瑶

筆者・中国語講師 許 家瑶