2017.10.26ドイツ人の恋愛・結婚観 【Eri先生編】

昨今、日本では政治家や芸能人の不倫騒動がマスコミで大きく採り上げられる一方、個人主義が発達した欧州では余り、注目されません。この違いはどこから来るのでしょう。

また、日本では結婚する事なしに子供を育てることは稀であり、ましてや養子を受け入れる概念などほとんどないと思いますが、ドイツ人の中では結婚してなくても恋人同士が子供を産み共に育てたり、養子を引き受け入れることが時々見受けられます。

今日はドイツ人の恋愛・結婚観と養子についてご紹介しましょう。

最近、ドイツでも離婚率は年々上がっていて46%に達したとか。そんなドイツも昔は結婚しないと妊娠してはいけないなどの掟がありましたが、今ではそのような掟に縛られること無く恋愛の自由化、多様化が進んでいます。 今年から同性愛の結婚も法律上認められるようになったり、同性愛者ではないですが、養子を迎え入れているドイツ人は私の知り合いにも何人かいます。

このような自由な恋愛観や家族の価値観は、1968年以降の脱教会化(以前は教会が結婚像を決めていた。) 、更には民主化と共に女性解放が起こり、社会でより自由な恋愛が認められ、また個人の価値観が受け入れられるようになったことに端を発していると思われます。

結婚に関し、ドイツ人は籍を入れるという事にあまりこだわりを持っていないようです。ドイツでは日本と同様、18歳で結婚出来ますが、両親の同意が得られれば16歳で結婚する事も可能です。(余談ですが、教会で結婚する事が許されるのは、教会のメンバーであり且つ毎月30ユーロの税金を教会に納めているキリスト教徒のみです。)

ところが、日本と同じ様に社会で働く女性がドイツでも年々増えているため、結婚が重要視されず、平均結婚年齢も24, 25歳だったのが、最近では32歳と遅くなっています。その背景としては、色々な人生の生き方が認められてきているため、いわゆる「結婚しなければいけない!」という社会常識がドイツでは全く無くなったことにあります。

また、養子についてですが、一般的に妊娠できない方がよく養子を迎えます。養子を迎える条件は厳しく、十分な時間そして養子のために十分財力を持っていること、そして25歳以上であることなどが挙げられます。

最近では医療技術の進歩に伴い妊娠出来ないという理由から養子を迎えるケースは、以前より少なくなっています。

養子を迎えるもう一つの大きな理由には、ドイツでは血が繋がっているか、いないかは関係無いと考える人が多いことが挙げられます。自分が産んだ子供にも、そうでない子供にも差別することなく、同じように愛せるという意見をドイツで私もよく耳にしました。

前述のように、同性愛者の結婚も認められたことからドイツでは来年以降、きっと同性愛者が養子と歩くシーンが見られる様になるでしょう。

このように、ドイツ、ヨーロッパでは恋愛・結婚観及び家族のあり方は、時代の変化、主に女性及び同性愛者の地位向上に伴い、以前の慣習・モラルにとらわれず、自由化、多様化が進んだ訳ですが、一方で独身・既婚者が複数の異性と関わることを厳しく咎められる日本とは依然として大きな違いがありそうです。

どちらが好ましいかは、これもまた、個々人の価値観に委ねられるのでしょうか。

では、また再来週にお会いしましょう!

 

Eri Honda

■筆者:Eri

中学卒業後、単身渡独。
持ち前のプロ精神と負けず嫌いで生徒さんを
引っ張る頼れる講師。
強い意志を持つ反面で親しみやすい明るさも
併せ持っています。