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海外の病院で医療費が高額になる理由
海外でケガや病気をすると、日本の病院を受診するよりも医療費が高額になりがちです。
その理由として、医療保険制度が国によって異なっていることが挙げられます。詳しく見てみましょう。
海外では制度が異なる
そもそも日本では、すべての国民が公的な医療保険に加入する「国民皆保険制度」を導入しています。一般的な治療で国民が負担する医療費は1〜3割と決まっています。
アメリカでは 「公的医療限定方式」が採用されており、高齢者や障がい者などを除く成人は、自分で民間保険会社の医療保険に加入しなければ基本的に医療保障がありません。
日本で医療機関を受診すると、窓口で自己負担分のみを支払うスタイルが一般的ですが、保険制度が異なる海外においては、すべて自己負担となるケースもあるのです。
ほかにも、日本では当たり前のことが海外では通用しないこともあります。
例えば、日本の救急車は原則無料ですが、海外のほとんどの国では有料です。アメリカやドイツ、オーストラリアなどでは、1回の要請で5〜10万円近くの料金が発生する場合もあるでしょう。
病院の医療費にばらつきがある
海外の病院は、同じ治療でも病院ごとに医療費が異なる場合があります。
日本で病院を受診した際、領収書に「◯点」と記載されているのをご存じでしょうか。日本は技術やサービスを点数で評価して診療費を計算しています。この点数は国に定められた診療報酬の制度であり、全国どこの医療機関を受診しても医療費にそれほど大きな差はありません。
しかし海外では、国による医療費の水準が決まっておらず、医療機関が独自に医療費を設定していることがあります。各々の病院や診療所が自由に料金を設定できるため、金額にばらつきが出るのです。
また、海外の病院は医療に対する規制が少なく、個人が選べる治療の種類が多いという特徴もあります。 その結果、一つの病気に対する治療でも医療費に大きなばらつきが発生することもあるでしょう。
病院での支払いに困らないためには?
海外の病院で高額な医療費を突きつけられて「支払えない」となると困ってしまいます。そこで、医療費の支払いに困らないための3つのポイントを参考にしてみてください。
・日本の健康保険制度を活用する
・海外旅行保険に加入する
・クレジットカードを持っておく
ずっと楽しみにしていた海外旅行や、新規プロジェクトを任された海外赴任。そんなときに医療費のことで頭を抱えないために、事前に入っておきたい海外保険についても解説します。
日本の健康保険制度を活用する
海外旅行中の医療費などは、日本の健康保険制度で還付されるケースもあることをご存じでしょうか。
日本の健康保険には、「海外療養費制度」というものがあります。日本の健康保険に加入している人は、申請すれば海外滞在中に支払った医療費が戻ってくるという制度です。
ただし、医療費は現地の病院などでいったん支払う必要があり、支払った医療費も全額戻ってくるわけではなく、日本で保険診療と認められている医療費の一部になります。また、日本と海外では治療法や医療体制が異なるため、支払金額が思ったよりも少ない場合もあるでしょう。
さらに、日本でできないような自由診療や治療目的で海外に行った場合は、基本的に支払いの対象外となります。
クレジットカードの付帯保険を確認する
クレジットカードには旅行中の病気やケガに備えられる保険付きのものがあります。
クレジットカードの保険の種類は、カードの会員なら利用しなくても持っているだけで自動的に付帯される「自動付帯」と、海外旅行代金の支払いなどでクレジットカードを使用することで補償の対象になる「利用付帯」があります。
また、どこまでカバーできるのかはカードによって異なるため、自分の手持ちのクレジットカードの付帯保険で、海外旅行中のリスクにどこまで対応できるかを確認しておくことが大切です。
ほかにも、支払われる保険金額の上限、保険が適用される範囲、家族特約の有無、保険期間についても確認しておきましょう。特に「家族付帯」や「家族カード」が利用できる場合は、家族で海外に行くなら確認しておきたいポイントになります。
例えば、セディナゴールドカードや三菱UFJカード ゴールドプレステージ、JCBゴールド、楽天プレミアムカード、三井住友カード プラチナなどは、自動付帯で家族カードの発行も可能です。
海外旅行保険に加入する
海外旅行のリスクに手厚く備えられるのが、海外旅行保険です。基本的に90日以上海外に滞在する場合、クレジットカードの付帯保険では足りないでしょう。外務省でも海外旅行保険への加入を推奨しています。
海外旅行保険に加入していると、海外旅行中のケガや病気などによって現地で負担した医療費が補償されます。また、持ち物の盗難などによる被害や破損に対して保険金が支払われる携行品損害保険がついていればさらに安心です。
そして、多くの海外旅行保険では、医療費以外にも受診時の「キャッシュレス医療サービス」もあります。海外での高額な医療費を損害保険会社が直接病院に支払ってくれるサービスです。
ほかにも滞在中の緊急時に日本語で病院を紹介してくれたり、通訳のサポートをしてくれたり、いざというときに助かるサービスが用意されています。
留学保険の違い
留学保険とは、海外留学生向けに海外旅行保険が補償する内容に加えて、現地で生活するときに安心できる補償が付加されています。また、留学保険の場合は長期滞在を前提としているため、補償期間は年単位となっている保険会社が多いでしょう。
留学保険のプランによって、留学生賠償責任や留学生活用動産損害の補償、緊急一時帰国費用や学業費用補償などの補償もあります。
さらに、慣れない海外でのトラブルでパニックになってしまうかもしれません。日本語でのサポート体制が充実している保険を選ぶと安心です。
海外赴任者向けの保険の違い
海外赴任者向けの保険で一般的なのは、海外旅行保険をベースに帯同する家族の補償や賠償責任をつける内容です。そのほか、住居や家財など生活用動産の補償、自家用車の自動車超過損害賠償責任などが用意されています。
海外赴任者を対象にした保険の種類には、「駐在保険」「赴任保険」「海外赴任者保険」などがあります。海外赴任者以外にも、長期出張用の保険を扱っている保険会社もあるでしょう。
また海外赴任には、日本の企業に在籍しているケースと海外の企業に現地で採用されたケースがありますが、基本的に海外赴任者向けの保険の対象者は日本企業に在籍している人です。
海外での緊急時に「話が通じない!」を防ごう
海外に滞在中、もしケガや病気をして病院に行くことになったとき、体調や体の症状について上手く伝えられる自信はありますか?
体がつらい状態で慣れない海外の病院に行くのは不安です。事前に下調べをして、緊急時に備えておきましょう。
医療機関の受診方法を調べておく
海外の医療機関と日本の医療機関では形態が異なります。症状によって病院の選び方も変わるので、現地の医療機関を受診する方法について調べておくと安心です。
例えばアメリカでは、出血がひどかったり骨折したりしている重病の場合は総合病院(General hospital)の救急外来(Emergency room)に行きましょう。そして、風邪やインフルエンザのような比較的軽い症状の場合には、個人クリニック(doctor)にかかります。
しかし、英語に自信がないと病院選びも大変です。クレジットカード付帯保険や海外旅行保険に24時間サポートがついているなら、日本語で問い合わせて病院を見つけてもらうこともできます。
事前に、現地の医療機関事情や保険の内容について調べておきましょう。
アレルギーや常備薬について記録しておく
海外赴任や留学などで長期にわたって日本を離れる場合、自身のアレルギーや処方箋の記録を持参しましょう。また、腹痛や頭痛などの軽い症状が出てもいいように、使い慣れている常備薬を忘れないようにします。
普段から服用している薬がある場合、「病名、処方薬剤名、処方量、医師名、病院名、病院の住所、連絡先等」を説明できるようにしておいてください。お世話になっている病院に証明書をかいてもらうのもおすすめです。
もしアレルギーなどがある場合は、東京都港区みなと保健所で作成された「食物アレルギー伝達シート(英語版・中国語版・韓国語版・スペイン語版)」や認定NPO法人アレルギー支援ネットワークが作成している「緊急時のお願いカード」を英語で作成して常に持ち歩いておくといいでしょう。
そして、簡単な英語のフレーズを覚えておくと安心です。
私は卵アレルギーです。
「I have an egg allergy.」
(もしくは、「I am allergic to eggs.」)
彼女は金属アレルギーです。
「She has a metal allergy.」
(もしくは、「She is allergic to metal.」)
この料理に海老は入っていますか?
「Is there shrimp in this dish?」
よく使う単語やフレーズを覚えておく
海外旅行時に多い病院の受診理由には、腹痛や下痢、発熱、風邪などがあります。
日本の飲食店では衛生面を厳しくチェックしていますが、海外では日本ほど気を遣っていないことも多いです。不衛生な水や食事からお腹を下してしまうこともよくあります。また、気候の変化や、慣れない環境によるストレスで、体調を崩してしまうこともあるでしょう。
体調不良で余裕がないときでも伝わるような、覚えやすい英語のフレーズを覚えておきましょう。よく起こりやすい症状や、気になる体の部位などの英単語を覚えるのもおすすめです。
ここが痛いです。
「It hurts here.」
下痢をしています。
「I have diarrhea.」
気分が悪いです。
「I’m not feeling well.」
また、病院を受診する際に必要な単語やフレーズも確認しておきます。
診断書をもらえますか?
「 Can I get a doctor’s note?」
この薬はいつ飲めばいいですか?
「When should I take this medicine?」
例えば、「薬」を意味する英単語には注意が必要です。医師が処方する薬を意味する「medicine」、違法性のある薬の意味としても通じる「drug」の2種類があるため、誤解されないためにも「medicine」を使った方が良いかもしれません。
海外へ行く前に、語学スクールで実践的なレッスンがおすすめ
本校では、さまざまなコースを用意しています。しっかりと言葉を聞き取れ、自分のことを話せるようになるには、会話方式の語学学習が最適です。
なかでも「海外赴任・ご家族コース」では、すぐに使える表現をマスターできます。ショッピング、タクシー・電車等の移動、レストランでの注文、各種お手続きの方法などは、知っておくと便利です。
また緊急時の対応についても学べます。お医者さんにかかる時や救急車が必要な時、また、スリにあってしまった場合など、緊急の時に使う言葉も覚えておきましょう。
ほかにも、オンラインコースやマンツーマンコース、フリーコースなど、自身の希望に合わせて語学学習方法を選べるので、まずは無料体験レッスンをお試しください。
まとめ
海外の病院と日本の病院の違いについてご紹介してきました。海外の病院の特徴として、医療費が高くなりやすいことが挙げられます。
病院での支払いに困らないためにも、事前に海外旅行保険やクレジットカード付帯保険に加入しておきましょう。また、現地で支払いを済ませた後に、日本の健康保険制度である「海外療養費制度」を活用することで医療費が戻ってくることもあります。
体調が優れなくなってから現地の病院を探したり、伝えたいことを訳したりするのは大変です。事前に緊急時に使える英単語やフレーズを覚えておきましょう。
海外へ行く前に、語学スクールで病院でよくある場面を練習しておくのもおすすめです。
この記事の監修者プロフィール
欧米アジア語学センター編集部
ネイティブ講師を中心に、各言語100名を超える経験豊富なプロフェッショナル講師が在籍しています。 当校では、短期間で効率的に語学を習得していただく事を重視して、「わかりやすい日本語で、論理的に教える事ができる」事が講師に求められています。 特に英語以外の言語は、初めて学ぶ方が多く、習得まで与えられる時間が多くない事から必須のスキルだと考えます。また、受講者様のニーズをしっかりキャッチして、それをレッスン内容に反映する能力=コミュニケーション能力を講師に要求しています。 教授メソッドの再現性が求められる画一的・マニュアル的な大手スクールとは違う、オーダーメイドのスクールならではレッスンをご提供しております。