海外赴任先で鬱(うつ)になったら?帰国する方法と改善策

健康管理

2023.12.23

海外赴任というと順調にキャリアアップの階段を昇っているイメージがあるかもしれません。海外赴任者には、会社から期待されている優秀な社員を任命します。 しかし、実際に海外での生活を始めてみると、日本との環境の違いや業務に対するプレッシャーで大きなストレスを感じてしまう方も多いでしょう。 本記事では、海外赴任で「うつ病」になる原因から、ストレスを緩和する方法までご紹介します。 もし海外赴任を辞めたい駐在員は、無理せずに途中帰国しても大丈夫です。精神的に疲れてしまったとき、どのような選択肢をとればいいのかわかるように解説していきます。

「うつ病」とは

うつ病は気分障害の一つで、気分がひどく落ち込みやすかったり、やる気が出なかったりする精神的な症状のほか、眠れない、食欲がないといった身体的な症状が現れることもある病気です。
うつ病を発症している人は、決して怠けているわけでも、気持ちでなんとかなるものでもありません。
うつ病の背景には、精神的ストレスや身体的ストレスがあるケースも多いですが、感情や意欲を司る脳の働きに何らかのトラブルが生じている状態といえるでしょう。
まずはしっかりと休養をとり、症状が強い場合には、薬物療法や精神療法によってうつ症状を軽減させることができます。

海外赴任でうつ病になる原因

海外赴任者がうつ病を発症してしまうケースは少なくありません。

・言語や文化の違いによるストレス
・生活環境からくるストレス
・家庭内でのストレス
・業務内容に関するストレス

ストレスとなる4つの原因を深掘りしていきましょう。

言語や文化の違いによるストレス

海外で日本語が通じる地域はほとんどありません。もちろん仕事では、英語や現地語で業務に関するコミュニケーションが取れないと、仕事どころではなくなってしまいます。
また、仕事だけでなく、私生活でも言語の違いによって不便を感じることも多いでしょう。言葉のほかにも、宗教・思想の違いや特有の習慣に戸惑うこともあるかもしれません。
さらに、働き方にもその国の文化が現れます。日本で残業はめずらしくないですが、海外では定時になったらすぐ帰り、仕事よりもプライベートを優先する文化も多いです。平均的な勤務時間や休憩時間も国によって異なるでしょう。

生活環境からくるストレス

日本の食べ物は世界でも美味しいことで有名です。そのため、赴任先の国によっては食事が口に合わないこともあり、食事が生きがいの人にとってはストレスに感じることでしょう。
また、海外にはコンビニがなく不便に感じることも。ほかにも、水道水が不衛生だったり、トイレが清潔ではなかったり、お風呂に浴槽がなかったり、細かいことですが日本と同じ生活ができないことでいつの間にかストレスを抱えているケースもあります。

家庭内でのストレス

海外赴任者に帯同する家族がいる場合、「慣れない土地での育児」「子供の学校生活のサポート」「休日の家族サービス」など、考えなければならないことが一気に増えます。日本とは違う環境で、なかなかスムーズにいかないこともあり負担になりがちです。
単身赴任の場合でも、日本から遠く離れた海外で長期間過ごすとなると、家族が恋しくなり孤独を感じる方も多いでしょう。

業務内容に関するストレス

海外赴任先では、ほとんどの駐在員がいろいろな業務を兼任することになるため、日本で働いていた頃よりも忙しいと感じるでしょう。
また、日本の会社と赴任先の現場の間に入って、双方の窓口にもなります。場合によっては板挟み状態になり、精神的負担を感じるかもしれません。
現地スタッフをまとめる立場になるケースもあり、慣れない言語でコミュニケーションがうまくとれないと苦労することもあるでしょう。

うつやストレスを感じたらどうする?

うつにならないための対策、改善策について紹介します。

言語の勉強をする

海外赴任の前に、海外生活に必要なレベルの語学スキルは身につけておきましょう。できれば一緒に渡航する赴任者の家族も、最低限の英会話スキルや、スマホの翻訳機能などを使って会話ができるようになっておくと安心です。
現地の人とスムーズに会話するためには、頭の中で日本語に翻訳しないで話せるようになる必要があります。読み書きができることと会話ができることは全くの別物なので、たとえ1ヶ月でもいいので外国人と話せるスクールに通うことをおすすめします。
本スクールでは、「海外赴任者・家族コース」があり、海外赴任前の語学学習に最適です。すぐに使える表現から異文化理解まで学ぶことができます。

レジリエンス力を高める

レジリエンスとは、ストレスが多い状況の中で、しなやかに回復し乗り越えて適応していくことです。逆境に負けない心をつくるために、物事の捉え方と対応の仕方がポイントになります。
アルバート・エリスが提唱した「ABCDE理論」という心理療法では、次のA~Eの思考パターンを繰り返すことで、感情をコントロールします。

A:出来事が起こる(例:上司に怒られる)
B:思い込み(例:仕事ができないと思われている)
C:感情(例:自信がない、自分には向いていない)
D:Bに対する反論(例:期待していることの現れ)
E:効果的な新しい信念(例:上司にアドバイスをもらう)

一見マイナスに捉えられる物事でも、自分の考え方次第で好転させることができます。

仕事以外の楽しみを見つける

仕事以外に趣味や楽しみを見つけておくことで、心身のリフレッシュに繋がります。
一人でリラックスする時間も大切ですが、その土地の人と交流することで安心感が生まれます。現地のレストランやカフェを巡ってみたり、地域のコミュニティーに参加するのもいいかもしれません。
せっかくの海外生活なので、有名な観光地や世界遺産を訪れるのもいいでしょう。

人に相談する

海外赴任中はつらいと感じることもたくさんあるでしょう。「大したことないから」と一人で抱え込まずに、誰かに話を聞いてもらうだけで、かなり心が軽くなることがあります。
赴任先で友人ができれば話を聞いてもらってもいいですし、日本の友人や家族に電話で話してみるのもおすすめです。
知り合いには話しづらい場合は、企業が提供している相談窓口、産業保健部門や健康保険組合などの相談窓口などの活用も検討してみてください。

帰国してからの選択肢

海外赴任中に「うつ病」の症状が出ているのであれば、無理せず休養することをおすすめします。
まずはストレスのかかる環境から脱し、帰国後に落ち着いたら「休職・異動・転職」などの選択肢があることを覚えておいてください。

休職する

うつ病で休職するには診断書が必要です。駐在中に現地の医者にかかり診断書をもらって、本社の人事に報告するとスムーズに帰国できます。
もしくは、一時帰国した際に専門医を受診するか、近頃はオンライン診療を受け付けている心療内科や精神科もあるので検討してみましょう。

異動を希望する

帰国して別の部署で働きたい意志があれば、異動を希望するのも一つの手段です。
その場合、日本にいる上司や人事担当者と相談する必要があります。うつ症状については産業医と話しておくといいでしょう。

退職(転職)する

退職する意志が固いなら、先に転職活動を進めておくのがおすすめです。転職先が決まった段階で会社に退職を申し出ることで、自分の希望通りに海外赴任をやめることができます。
海外勤務を続けたい方は、現地での転職を考えてみましょう。

まとめ

海外赴任先では予想外の出来事がたくさん起こります。慣れない土地でストレスを感じる場面も多いでしょう。
言語、環境、家庭、業務など、ストレスの原因はたくさんあります。うつ病を発症する前に、英語スキルを学んでおいたり、海外でも楽しめる趣味を見つけたりして、心身の負担を減らしておくのがおすすめです。
どうしても海外赴任がつらくてやめたい方は、無理せず休むことも大切。帰国後の選択肢もいろいろあるので、自分のことを優先して行動してみてください。

この記事の監修者プロフィール

欧米アジア語学センター編集部

ネイティブ講師を中心に、各言語100名を超える経験豊富なプロフェッショナル講師が在籍しています。 当校では、短期間で効率的に語学を習得していただく事を重視して、「わかりやすい日本語で、論理的に教える事ができる」事が講師に求められています。 特に英語以外の言語は、初めて学ぶ方が多く、習得まで与えられる時間が多くない事から必須のスキルだと考えます。また、受講者様のニーズをしっかりキャッチして、それをレッスン内容に反映する能力=コミュニケーション能力を講師に要求しています。 教授メソッドの再現性が求められる画一的・マニュアル的な大手スクールとは違う、オーダーメイドのスクールならではレッスンをご提供しております。