この記事の目次
日本の伝統的な家というと、和室や瓦の屋根などが印象的な方も多いでしょう。日本と海外の家とでは、住宅に対する考え方や間取りも大きく異なります。
- 住宅に対する考え方と建物寿命
- 構造や間取りの違い
- 家全体のサイズ
3つのテーマで、日本の家と海外の家の特徴を比較してみます。
住宅に対する考え方と建物寿命
現代の日本では、多くの人が結婚や子供ができたタイミングで家を建てるイメージを持っているかもしれません。日本の住宅耐用年数は約30年といわれており、一般的に古くなった家は資産価値が低く、新築が好まれる傾向があります。
日本は戦後、高度経済成長期に入りマイホーム購入の需要が増えました。耐久性や寿命よりもコスト重視で建てられる家が多かったことも影響しています。
その点、海外の先進諸国では、住宅の寿命が50年〜100年と遥かに長いケースも多いです。家を建てる時点で、子供や孫まで住めるように長期的な資産としての考えが根づいています。
昨今は日本でも、2009年6月4日に「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」が施行されるなど、自然環境や建築コストへの負担を軽減する考え方が浸透しつつあります。
構造や間取りの違い
日本には四季があり温暖な気候風土であるため、屋外の自然をうまく室内に取り込むことにより、快適に暮らすノウハウが蓄積されてきました。例えば縁側を設けることで、夏は日差しを遮ったり冬はサンルームの役割を果たしたりします。現代は、南向きの大きな窓からリビングを明るく照らす間取りが人気です。
一方、アメリカの住宅は基本的に、方角に関係なくストリートに向いて建っています。アメリカでは景観を大切にする考え方が強く、リビングに陽が差さないこともありますが、ストリートを向いている家並みはとても美しい街並身を作り出すのです。
また、日本では室内では靴を脱ぐ習慣があるので、玄関には土間があります。しかし海外では土足のまま家で過ごす国も多く、玄関扉を開けてすぐにキッチンやリビングという間取りも少なくありません。
そしてリビングの考え方も多少異なり、家族が集うイメージの日本に対し、アメリカでは来客を迎えるデザインが多いです。ホームパーティーを頻繁に行う国では、大人数でも余裕のある開放的な間取りやオープンキッチンが一般的なこともあります。
家全体のサイズ
統計局の「平成20年住宅・土地統計調査」によると、日本の住戸1戸あたりの平均床面積は94㎡とされており、日本の家の狭さは世界でも有名です。
例えばアメリカでは、住居の平均平米面積は148㎡となっており、世界的にみても家が広い傾向にあります。
そもそも日本は国土が狭いため、国土がかなり広いアメリカと比較すると当然の結果かもしれません。
また天井も海外の方が高く、日本では約2.4mの天井高が一般的なのに対し、アメリカでは約2.7mにしている家が多いようです。そのため家全体の大きさは海外の家の方が大きく感じるでしょう。
海外の家の間取りの特徴
海外の家には多くのバリエーションが存在します。ライフスタイルが違う日本と海外では、家の間取りも異なります。
ここでは、アメリカらしい家の特徴や間取りに焦点を当て、日本との違いを確認していきましょう。
リビング
アメリカでは、リビングやLDKの間取りを広く取るのが一般的です。家族団欒の場として、暖炉を中心とした広々としたリビングスペースを設ける家もあります。また、吹き抜けや勾配天井などで天井高を高くすることで開放的な空間を意識しているデザインも多いです。
さらに、リビングルームを家族用と来客用とで別々に設けているケースもあります。アメリカでは気軽に友人を招いてホームパーティーを開くことがあるため、来客用のリビングと家族用のリビングを用意することで快適に過ごせるようです。
キッチン
ホームパーティーを開くこともあるので、開放的で広いキッチンを設置している家も多いです。
アメリカのキッチンには、日本のシンクによくある三角コーナーを置きません。シンクの排水溝にディスポーザー(粉砕機)がついており、生ごみを投入すると粉砕してそのまま流してくれるキッチンもよくあります。
また、日本のコンロによくある魚焼きグリルはなく、アメリカのキッチンではコンロとオーブンが一体型になっているタイプが一般的です。
トイレ・浴室
日本の浴室は、脱衣所があって扉を開くと浴槽のある風呂場が一般的です。しかし、海外では浴槽にお湯を貯める習慣がなくシャワーを浴びる事の方が一般的。
また、メインのバスルームは主寝室の近くにあり、トイレはバスルームの中にある構造が多く、生活動線が短い特徴があります。子供には子供用のバスルームがある家も多いです。
ちなみに、日本では洗濯機が脱衣所にあるケースが多いですが、アメリカではキッチン周辺やランドリールーム、地下、車庫に置いてあることが多いようです。外干しの文化がなく、洗濯物は乾燥機を使用して屋内で済ませます。
居室
アメリカでは屋根裏部屋を子供部屋にすることも多く、ベッドとクローゼットを置くのが一般的です。 幼児期から個室を与え、子供部屋の管理は子供に任せる習慣があります。
また、寝室には日本のベッドよりも大きいサイズで高さもあるベッドが置かれていることがほとんどです。
照明はシーリングや引掛ローゼットがついておらず、間接照明を使います。明かりが必要な場所に必要なだけ照明を置くイメージです。
内壁(窓)
日本では、南側にリビングや子供部屋を設計することが多いため、南の窓は大きく北の窓が小さくなることが多いです。
しかしアメリカでは、玄関のすぐ近くにリビングを設けることがほとんどで、北側道路であっても道路面に比較的大きな窓がついています。そのため、外観の窓のバランスが良く、アメリカの住宅街の方がおしゃれに見えるかもしれません。
また内装の特徴として、内壁は壁紙ではなくペンキ塗りになっていることが多いです。アメリカの家は日本の家より寿命が長く、将来売る前提で買うので、ペンキで手軽に好きな色に変えられる状態が好ましいとされています。
庭(ガレージ)
車社会のアメリカでは、車が建物内に収納できるインナーガレージ付きの家がよく見られます。
ガレージと屋内が繋がっていることで、家の中から直接車へ乗り降りすることができて効率的です。加えて、アメリカではガレージを車の収納場所としてだけではなく、物置きや作業場として使用することもよくあります。
また、敷地が広いアメリカの家の庭は、芝生で景観を美しく保つ家も多いです。
【国別】家のデザイン・外観の種類
海外にはおしゃれな外観の家が数多くあります。最近は日本の住宅も海外のデザインを取り入れることが増えてきました。
日本で家を建てる際にも、各国の住宅デザインを取り入れてみてはいかがでしょうか?
アメリカの住宅デザイン
北米住宅の代表的なデザインに「アーリーアメリカンスタイル」があります。素朴な風合いやナチュラルでレトロ、カントリーな印象が魅力です。
アーリーアメリカンとは、17〜18世紀頃のイギリス植民地時代に流行した建築デザイン様式のことで、別名で「コロニアル様式」とも呼ばれています。
外観は、細長い板を一枚ずつ重ね合わせながら張り付けていくラップサイディングの外壁が特徴的。明るいイエローやブルー、深いグリーンやレッドなど、多彩な色から好みの色をセレクトできます。ほかにも、三角屋根に格子窓を合わせるのがポイントです。
また、カバードポーチ(屋根に覆われたデッキ)を設置することで、一気にアーリーアメリカンの雰囲気がでます。
フランスの住宅デザイン
フランスの伝統ある住まいは「フレンチスタイル」と呼ばれており、南フランスと北フランスでは外観デザインが少し異なります。
穏やかな気候の南フランスでも地中海沿岸はリゾート地としても知られ、外観は全体的に白系の柔らかい色合いの塗り壁が多いです。屋根瓦には赤やオレンジ系が多く使われます。窓は小さめで格子が入った両開きタイプが主流です。
一方、北フランスでは雨を流しやすい急勾配の三角屋根が特徴的で、光を取り入れるために大きめの窓がついています。屋根や外壁は目を惹きつけるカラフルさが印象的です。
スウェーデンの住宅デザイン
日本でも人気が高い北欧住宅は、スウェーデンやノルウェー、デンマークなどの国々からなる建築様式です。スウェーデンの住宅は、木材をベースに断熱材や断熱ガラスを採用しており、厳しい寒さの中でも室内では暖かく過ごせます。
雪の多い地域のため、傾斜のある大きな三角屋根や途中で折れ曲がって勾配が変わるサンマード屋根が一般的です。
外壁には、素材感を活かした自然石や木材などがよく使用されます。外観デザインは、深い赤色と白のコンビネーションが特徴的です。赤いサイディングに白の窓枠をデザインすることが多く、家の窓辺には、物を置くスペースが設けられています。そこに、植木鉢や季節のオブジェ、照明、キャンドルなどを置いて飾るのもおすすめです。
イギリスの住宅デザイン
イギリスの家のイメージといえば、レンガ造りの家や、花や緑が溢れたガーデンが思い浮かぶ方も多いでしょう。
イギリスでは家を建てると次世代まで受け継がれるため、寿命の長さが特徴の一つです。建物の耐久性が高く、流行に左右されない落ち着いた色味と風合いがあります。
外観は、上品で落ち着いた印象のブラウンやグレーなど、自然と調和するナチュラルな色が多く使われ流ことが多いです。また、煙突や三角屋根によって、重厚感の中にもかわいらしい印象を与えることもできます。
そして、自然美をたたえるイングリッシュガーデンがイギリスらしい雰囲気を作り出します。
まとめ
海外の家と日本の家では、住まいに対する考え方も、家の寿命もかなり違います。海外の家の特徴は、子供や孫世代にも受け継ぐことを想定している点です。建物の耐久性も高く、古い住宅ほど価値が高くなることがあります。
また、その国に住む人の習慣によって、快適に暮らせる間取りも変わってくるでしょう。
海外には真似したくなるようなおしゃれな外観デザインの家もたくさんあるので、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の監修者プロフィール
欧米アジア語学センター編集部
ネイティブ講師を中心に、各言語100名を超える経験豊富なプロフェッショナル講師が在籍しています。 当校では、短期間で効率的に語学を習得していただく事を重視して、「わかりやすい日本語で、論理的に教える事ができる」事が講師に求められています。 特に英語以外の言語は、初めて学ぶ方が多く、習得まで与えられる時間が多くない事から必須のスキルだと考えます。また、受講者様のニーズをしっかりキャッチして、それをレッスン内容に反映する能力=コミュニケーション能力を講師に要求しています。 教授メソッドの再現性が求められる画一的・マニュアル的な大手スクールとは違う、オーダーメイドのスクールならではレッスンをご提供しております。