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ビザ(査証)とは
ビザ(査証)とは、渡航先への入国許可証としての役割を果たすものです。国家が他国からの訪問者に対して、入国しても差し支えないことを証明する書類となります。
ただし、パスポートと違ってビザはすべての国で必要というわけではありません。「日本人の短期滞在でビザは不要」とする協定を締結している国であれば、パスポートだけで入国ができます。
日本のパスポートに対する信用度は高く、2023年4月時点で69の国と地域でビザが免除されているので、詳しい内容は外務省のホームページから確認してみてください。
パスポートとの違い
パスポートとは、各国の政府が発行するもので、国外へ渡る自国民の国籍や身分を証明するために必要なものです。そのため、日本人は日本政府が発行するパスポートがなければ国外に出ることはできません。
また、パスポートには5年と10年の有効期限があります。この期間内であれば、何度でも海外へ渡航できます。
ただし、渡航先の国によって、有効期限が一定期間確保されていないと出入国ができなくなる場合もあるので事前に確認しておきましょう。
ESTAとの違い
アメリカへ渡航する際、ビザと混同されがちなものにESTA(エスタ)があります。
一般的に、日本人が渡米する場合にはビザの取得が必要です。しかし、アメリカ政府の定める「ビザ免除プログラム(VWP)」参加国の国民は、ESTAの申請を行うことで渡航認証許可を得られるため、ビザがなくても短期商用または観光で90日以内のアメリカ滞在が可能になります。
ESTAの申請は、アメリカ大使館の「ESTA(エスタ)申請」ページから手続きが可能なので、海外旅行をするにあたって、通常のビザの申請のような面倒な作業は必要ありません。
また、有効期限は認証日から2年間となっていますが、2年以内にパスポートの有効期限が切れる場合は、ESTAの期限も同時に失効されるため注意してください。
ビザの種類
ビザは渡航先の国や渡航目的ごとに、観光ビザや就労ビザなど多くの種類が存在します。
例えば、日本のビザは「外交査証・公用査証・就業査証・一般査証・短期滞在査証・通過査証・特定査証・医療滞在査証」の8種類です。
アメリカの場合は、一時滞在の「非移民ビザ」と永住者の「移民ビザ」に大きく分かれており、観光客や学生、ビジネスマンなどを対象に非常に細かく分かれています。
就労ビザ
一時的にアメリカで就労する場合、米国移民法では仕事の種類に応じて特定のビザが必要となります。ほとんどの短期就労者は、就労ビザを申請する前に雇用主もしくは代理人が請願書を提出し、米国移民局(USCIS)の許可を得なければなりません。
さらに、職種や分野でも就労ビザの種類が細かく分かれており、特殊技能職(Hビザ)、企業内転勤者(Lビザ)、芸術家または芸能人(Pビザ・Oビザ)などによって詳細が異なります。
留学ビザ
アメリカに長期で留学するには、基本的に学生ビザが必要です。大学や大学院への留学や、語学留学で週に18時間以上の授業を受ける、もしくは90日以上の留学をする場合などが該当します。
留学ビザに該当するのは、語学学校や大学などに通うための学生ビザ(Fビザ)、専門学校で職業向けの課程を受講するためのビザ(Mビザ)、交換留学や研究者の国際交流などに必要なビザ(Jビザ)などです。
短期商用・観光ビザ
アメリカへの短期出張や短期観光のビザはB-1とB-2ビザになります。Bビザは短期間で取得できるかわりに、活動範囲に制限があるといえるでしょう。
B-1ビザは主にビジネスマンを対象としていますが、現地での就労は認められないため、会議・視察・商談などに適しています。
B-2ビザを取得した場合、90日以内の観光やホームステイなどが認められますが、アルバイトを含む就労は認められません。また、就労ビザで渡米する人の同居家族が渡米する場合にもB-2ビザが該当します。
貿易駐在員・投資駐在員ビザ
Eビザは、米国と通商条約を締結した国の国民が取得できるビザです。貿易駐在員用のE-1ビザと投資駐在員用のE-2ビザの2つがあります。
Eビザを取得できるのは、米国法人で役員または管理職のポジションに就く人、あるいは、会社の商品や市場戦略など、その米国法人にとって不可欠で専門的なスキルを持つ人です。
Eビザ保持者の配偶者と21歳未満の未婚の子供は、E-2ビザを申請できます。配偶者は労働許可を申請することができ、子供はアメリカ国内の学校に通うことも可能です。
ビザの申請方法
海外で働くためには、その国の制度に応じた就労ビザが必要になります。就労ビザの申請方法は国によって異なり、必要な書類や取得までに必要な時間もさまざまです。
就労ビザの取得方法は大きく3つのパターンに分かれており、赴任先の国がどの方法に当てはまるのかを確認しておきましょう。
【ビザ取得方法3つのパターン】
- 日本でビザと許認可(労働許可)を申請取得後に赴任
- 赴任先で許認可(労働許可)を取得後に、日本でビザを取得・申請し赴任
- 日本でビザを取得した後に、赴任先で許認可(労働許可等)を取得
さらに、ビザの種類によっても方法が異なることもあるので注意が必要です。
例えば、アメリカのEビザは日本ですべての手続きが完結するのに対して、Lビザはアメリカで手続きを行い日本でビザを取得する必要があります。
ビザ取得までに必要な日数
一般的にビザを申請してから発給されるまでの期間は、申請を受理された翌日から起算して約1週間(5営業日)とされています。
しかし、ビザの申請内容に疑義がある場合においては、外務本省にて審査が必要とされるケースもあり、ビザを申請してから発給までに1か月以上かかる場合もあるでしょう。
また、ビザの申請に必要な書類の用意だったり、日本のアメリカ大使館で面接を行う必要があったりするので、少なくとも2〜5ヶ月前から準備を始めることがほとんどです。
ビザの発給基準
E-1ビザ(貿易駐在員ビザ)は、貿易に従事する日本法人の在米支店、あるいは50%以上を日本側が有する米国子会社の駐在員が発給対象となっています。また、米国の受入先が、日本と相当量の貿易を継続的に行っていることが条件です。
そしてE-2ビザ(投資駐在員ビザ)は、日本法人による相当額かつ実質的な事業投資を要件としており、受給資格者は、幹部や管理職、または事業にとって必要不可欠な技能などを有する者に限られます。L1ビザ(企業内転勤者用ビザ)は、日本法人の米国支店や駐在員事務所、関係会社、親会社、子会社へ派遣される駐在員が発給対象です。受給資格者は、幹部や管理職、または特殊技能者、専門知識を有する者となっています。
【ビザ対象者】
- E-1ビザ:貿易、商業取引を行う企業等
- E-2ビザ:米国への投資、経営・運営を行う企業等
- L-1Aビザ:米国支社に駐在し、幹部職、管理職として働く人
- L-1Bビザ:米国支社に駐在し、特殊知技術職として働く人
ビザの取得方法
東京のアメリカ大使館で、Eビザ・Lビザを取得するまでの流れは次の通りです。
【Eビザ取得方法】
- 必要書類の準備
- 面接予約
- 面接(申請書類を持参)
- ビザ受領(面接から発給まで約1週間)
【Lビザ取得方法】
- 必要書類の準備
- 現地でビザの許可申請(通常約1ヶ月)
※弁護士に依頼するのが一般的 - 許可通知(現地から日本に送付)
- 面接
- ビザ受領(面接から発給まで約1週間
ビザの有効期限
ビザの有効期限が切れてしまうと、原則としてその後は不法滞在となってしまいます。長期にわたる滞在の場合は、更新手続きを行いましょう。
【ビザ有効期限】
- Eビザ:通常5年
- Lビザ:通常3年(企業設立1年目の場合は1年)
【ステータスの有効期限】
- Eビザ:米国移民局からは最長2年
- Lビザ:最初3年、2年ずつ延長可(設立1年目の企業は1年)
【有効期限の延長】
- Eビザ:大使館・領事館からは5年ずつ、米国移民局からは2年ずつ
- Lビザ:2年ずつ
海外赴任のビザ申請と必要書類
ビザの申請で必要になる書類は、赴任先の国やビザの種類によっても異なります。
一般的に査証申請書、パスポート、証明写真(1〜3枚)、勤務先の推薦状、申請者の英文経歴書、予防接種証明書などが必要になるでしょう。
実際に就労ビザの取得を目指す際は、代理店やそれぞれの国の大使館などに問い合わせたり、ホームページで最新の情報を確認してください。
アメリカ就労ビザの申請要件・必要書類
就労ビザの種類として、EビザやLビザ、Hビザがあります。日本人が赴任する場合、EビザもしくはLビザを取得することが多いでしょう。
一時的にアメリカで就労する場合、米国移民法では仕事の種類に応じて特定のビザが必要となります。また、ほとんどの短期就労者は、就労ビザを申請する前に、渡航先の雇用主もしくは代理人が請願書を提出し、米国移民局(USCIS)の許可を得なければなりません。
必要書類
【Eビザ】
- (登録済み企業の申請者)パスポート
- 証明写真
- 面接予約確認書
- FORM DS160
- FORM DS156E
- FORM 1120
- 組織図
- サポーティングレター
【Lビザ】
- パスポート
- 証明写真
- 面接予約確認書
- FORM DS160
- FORM I-797
- FORM I-129
- 雇用者からの推薦状
中国就労ビザの申請要件・必要書類
中国で長期の就労をする場合、ほとんどのケースにおいてZビザと呼ばれるビザを取得することになります。また、ビザを取得する前段階として、「外国人工作许可通知」や「外国人工作许可证」と呼ばれる許可証を取得しなければなりません。
そして、Zビザを取得して中国に入国した後は、就業証(働く許可)と居留許可証(滞在の許可)の申請と取得を行います。
必要書類
【就労ビザ用】
- パスポート
- 証明写真
- ビザ申請書
- 外国人就業許可証
- 外国人工作許可通知
【現地許可取得用】
- パスポートコピー
- 写真
- 卒業証明書
- 履歴証明書(経歴書)
- 派遣任命書
- 外国人体格検査記録(エリアによっては不要)
- 犯罪経歴証明書(エリアによっては不要)
オーストラリア就労ビザの申請要件・必要書類
オーストラリアの長期就労ビザであるTSSビザ(サブクラス482)は、オーストラリアで就労を目的として滞在するために必要なビザとなります。
最長滞在年数は4年間で、この間の出入国は自由です。基本的には、雇用主の審査・職種の審査・就労者の審査の3つにより、発給の可否が決まります。
必要書類
- 申請書
- パスポートのコピー
- 申請料
- 健康診断
- 身分証明書と写真
- 無犯罪証明書
- 英語力の証明
- 資金証明
まとめ
海外へ渡航する際に必ず使用するパスポートと違い、ビザは国や目的によって取得する必要があるか確認しなければなりません。
そして、ビザにはさまざまな種類があり、申請方法や必要書類も異なります。
今回は海外赴任する場合を例に、ビザの取得方法や申請要件、必要書類をご紹介しました。
ビザの条件は頻繁に改正されていますので、実際の渡航時には事前に確認しましょう。
この記事の監修者プロフィール
欧米アジア語学センター編集部
ネイティブ講師を中心に、各言語100名を超える経験豊富なプロフェッショナル講師が在籍しています。 当校では、短期間で効率的に語学を習得していただく事を重視して、「わかりやすい日本語で、論理的に教える事ができる」事が講師に求められています。 特に英語以外の言語は、初めて学ぶ方が多く、習得まで与えられる時間が多くない事から必須のスキルだと考えます。また、受講者様のニーズをしっかりキャッチして、それをレッスン内容に反映する能力=コミュニケーション能力を講師に要求しています。 教授メソッドの再現性が求められる画一的・マニュアル的な大手スクールとは違う、オーダーメイドのスクールならではレッスンをご提供しております。