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海外への引越しに必要な費用
海外への引越しでは、陸送費のほかに航空便・船便の輸送費がかかります。その他にも諸費用がかかるため、高額になるケースがほとんどです。
【海外引越し費用の出し方】
日本側輸出料金+外国側輸入料金+運賃
【運輸方法の特徴】
- 航空便:荷物が早く届くが費用は高くなりやすい。重量で料金を算出する。
- 船便:輸送費はリーズナブルだが日数がかかる。容積で料金を算出する。
それでは、単身引越しと家族で引越す場合の費用について確認してみましょう。
単身者・留学生が海外へ引越しする場合
単身者や留学生が海外へ引越しする場合は、段ボール箱に荷物を入れて輸送するパックプランがお得です。
ここでは、日本通運の海外留学・単身海外赴任の人向けに引越しプランを例に紹介します。
【留学パック(航空便)】
留学・単身の海外引越しで利用しやすい航空便のパックプランです。2週間程度で荷物を届けられますが、輸送費が高めなので必要なものを厳選して荷造りするといいでしょう。
プラン内容
項目 | プラン内容 |
---|---|
箱数上限 | 段ボール1〜2箱 |
所要日数 | 2週間前後 |
料金 | パック料金 |
梱包 | セルフ |
パック料金
国名 | Sサイズ1箱料金 (10kgまで) |
Mサイズ1箱料金 (20kgまで) |
S+Mサイズ 2箱料金 (30kgまで) |
---|---|---|---|
ニューヨーク | 26,000円 | 42,500円 | 52,500円 |
ロンドン | 33,000円 | 52,500円 | 70,500円 |
シドニー | 26,000円 | 42,500円 | 52,500円 |
香港 | 15,000円 | 23,000円 | 33,000円 |
航空便で送る荷物の中には、海外到着後にすぐに欲しい日用品や気候にあった衣類を入れておくのがおすすめです。また、輸送手続き上、壊れやすいものは避けましょう。
企業からの赴任の場合、会社負担で持っていける量が限られていることがあるため、必要なものを考えて選ぶ必要もでてきます。
【セルフパック・コンビプラン(船便)】
船便で送る荷物の料金基準は容積です。大きな家具や重い荷物を航空便よりも安く送ることができます。
ただし、輸送に時間がかかるため、海外到着後すぐに必要になるものは入れないのがポイントです。
プラン内容
項目 | プラン内容 |
---|---|
箱数上限 | 専用段ボール15箱 |
所要日数 | アジア:1ヶ月前後 米国、欧州:1~2ヶ月 |
料金 | パック料金 |
梱包 | セルフ |
パック料金
国名 | 1パック料金(5個) | 2パック料金(10個) | 3パック料金(15個) |
---|---|---|---|
ニューヨーク | 170,000円 | 225,000円 | 280,000円 |
ロンドン | 143,000円 | 190,000円 | 230,000円 |
シドニー | 230,000円 | 280,000円 | 320,000円 |
上海 | 174,000円 | 187,000円 | 207,000円 |
壊れやすいものは航空便ではなく、船便で送りましょう。そして、船便は比較的安く多くの荷物を輸送できるので、荷物の大部分を船便で送るのが一般的です。
家族で海外へ引っ越しする場合
家族で海外へ引越しする場合の費用相場は、家族の人数や大型家具の数によって違ってきます。そのため、引越し業者が直接自宅に訪問してくれる、都度見積もりを依頼するといいでしょう。
大型家財や荷物量が多い家族の海外引越しにおすすめのオーダーメイドプラン(日本通運)を例に紹介します。
【フルパック・スーパー】
項目 | プラン内容<航空便> | プラン内容<船便> |
---|---|---|
箱数上限 | なし | なし |
所要日数 | 2週間前後 | アジア:1ヶ月前後 米国、欧州:1~2ヶ月 |
料金 | 都度見積り | 都度見積り |
梱包 | 専門スタッフ | 専門スタッフ |
4人家族の場合、船便と航空便を併用するのが一般的です。見積り費用の目安は、留学・単身用のパックプランで事前に確認しておくといいでしょう。
引越し業者の選び方
海外引越し業者を選ぶときと、国内引越し業者を選ぶときとでは、見極めるポイントが違います。
①海外引越許認可の有無
②引越し先の国への引越し実績
③現地サポートの有無
海外引越し業者の選び方として、3つのポイントをチェックしましょう。
①海外引越許認可の有無
海外への引越し業務を行う場合、国土交通省から許可を得る必要があります。
悪徳業者やトラブルを避けるためにも、「外航運送に係る第二種貨物利用運送事業」に対する許認可がおりているか、ホームページなどで確認しておくと安心です。
②引越し先の国への引越し実績
引越し先の国への引越し実績があるかを確認しておきましょう。
特に、大手の引越し業者であれば、何度も海外引越しを経験していて実績も豊富です。万が一の際の対応もきちんとしており、海外での引き渡しまでしっかり荷物を保障する輸送保険の用意もあります。
③現地サポートの有無
海外引越し専門の業者は、荷物の梱包から輸送に関する通関手続きの代行を依頼できるところもあります。
また、海外に自社拠点がある業者なら、荷解きなどの現地サポートも安心して任せられるでしょう。最も代表的なサービスの「日本人(日本語)サポート」があると魅力的です。
海外へ引越しするときの流れと手続き
海外へ引越しするときには、引越しの約3ヶ月前から準備を始めるのが理想です。引越しの流れ自体に国内引越しとの大きな違いはありませんが、一部海外引越しにのみ必要な手続きや書類があります。
梱包明細書と通関は、海外引越しのみの手続きです。テロや密輸を防止する目的で必要な手続きであり、海外渡航時の荷物に輸入禁制品や怪しいものはないことを申告します。
海外引越しの流れと必要な手続きについて解説するので、確認しておきましょう。
引越しの流れ
海外引越しの流れは次の通りです。荷物の量と輸送にかかる日数から逆算して、スケジュールを組むための目安にしてください。
【3ヶ月前】
- 1.見積もり依頼、海外引越し業者選定
- 2.家財・荷物の仕分け計画
引越し業者が決まったら、荷物や日程、配送方法などの詳細を打ち合わせます。船便・航空便を併用する場合は、事前に家財と荷物の仕分け計画をしておくと荷造り作業が捗ります。
【2ヶ月前】
- 船便の荷造り梱包
- 必要書類の用意・入金
梱包作業は、業者がする場合も自分でする場合でも、ダンボール箱の中身と金額は正確に記録しておきましょう。パスポートや委任状などの必要な書類を用意して、引越し業者への入金を済ませます。
【1ヶ月前】
- 船便の荷出し(梱包明細書・保険証書作成)
- 通関手続き
通関手続きや保険のために「梱包明細書(パッキングリスト)」と呼ばれるリストが必要になります。引越し業者が、日本と海外の両方で通関手続きを代行してくれるケースが多いです。
【2週間前】
- 航空便の荷造り梱包
- 不用品の処分
ダンボール箱の中身と金額が一致するように記録しておきます。置いていくものの整理もしておきましょう。
【1週間前〜出発】
- 航空便の荷出し(梱包明細書・保険証書作成)
- 通関手続き
- 渡航
梱包明細書と保険証書作成を作成します。引越し業者が通関手続きをスムーズに行えるように、パスポートの写しなどを預けておきます。渡航で必要な書類は、国によって変わります。
【海外到着後】
- 輸入通関
- 現地新居に荷物搬入
身の回り品や生活必需品は、基本的に免税で対応可能です。国によって必須条件は違うので、事前に確認しておきましょう。搬入までに家具のレイアウトを決めておきます。
必要な手続き
海外への引越しでは、さまざま手続きが必要です。スケジュールに余裕をもって準備を進めましょう。
- パスポート申請(発行に2週間ほど必要)
- ビザ申請
- 海外転出届の提出(1年以上日本を離れる場合に必要)
- 国民健康保険脱退
- 運転免許証(国外運転免許証への切り替えが可能)
- 予防接種証明書(国によって必要)
- 在留届(3ヶ月以上の海外渡航に必要)
そのほかにも、海外赴任の場合は会社から健康診断を求められたり、携帯電話・ネットの移転手続き、年金・社会保険や子どもに関する手続きが必要になることもあります。
海外へ引越しするときの注意点
海外へ引越しするときの注意点を紹介します。
国内引越しでは気にすることがなくても、海外への引越しでは問題となることもあるので、念には念を入れて確認しておきましょう。
引越し荷物に保険料をかける
海外引越しは国内引越しに比べて事故発生率が大きいといわれています。ほとんどの海外引越し業者において、荷物にかける保険は引越し料金とは別に任意で加入する必要がありますが、基本的には入っておくといいでしょう。
保険の掛け金は荷物の容積によって決まるのではなく、荷物の価値に対して保険料率(%)を計算することで決まります。相場としては付保額の1.8〜1.2%の保険料率が多いです。
また、引越しで受けた損害を補償してもらうために、引越し当日中に荷物の破損などを確認し、その箇所を撮影しておきましょう。早めに確認することで検証しやすくなります。
海外によって持ち込み禁止の荷物がある
関税法やその他法令などの規定によって、海外へ持ち込めない引越し荷物があります。
【海外への持ち込みが禁止されているもの】
- 爆発物/危険物
- 麻薬
- 動植物関連
- 食料品類(生鮮食品、腐りやすいもの)
- ポルノ
- 大量の薬品
- 貴重品
- 酒類
- タバコ
さらに、このほかにも赴任国・地域が宗教上の理由や産業育成の目的で輸入を禁止したり、関税障壁を設けたりしている場合もあります。
引越し先に持ち込めないものは必ず事前に調べるようにしてください。
ペットの海外引越しは手続きがいる
ペットと一緒に海外へ引越しする際には注意が必要です。動物の出国や入国には時間がかかるため、早めに準備を進めましょう。
書類上の手続きだけでなく、動物検疫所で検査を受けたり、狂犬病の予防注射を打ったりしなければなりません。さらに、入国条件として、ペットの体内にマイクロチップの装着を義務付けている国もあります。
また、長期の移動はペットにとってストレスになることもあるので、移動に慣れさせることも必要でしょう。
引っ越し先の国によって、ペットを受け入れる際の細かな条件が異なります。詳しくは、日本にある、引越し先の国の大使館で教えてもらうのがベストです。
駐日外国公館リスト|外務省
http://www.mofa.go.jp/mofaj/link/emblist/index.html
まとめ
海外への引越し費用は高額になりやすく、輸送方法や引越し業者を比較検討することで安くなるでしょう。引越し業者を選ぶ際には、信頼できてサポートが充実しているかどうかを確認することが大切です。
海外引越しは国内引越しよりも、準備に日数がかかり、必要な手続きも増えます。スケジュールに余裕も持って準備を始めてください。
また、海外へ引っ越しするときの注意点もご説明しました。引越し先の国の情報をしっかり調べて、スムーズに引越しを進めましょう。
日本とは違った国で、海外赴任や留学の新生活を楽しんでくださいね!
この記事の監修者プロフィール
欧米アジア語学センター編集部
ネイティブ講師を中心に、各言語100名を超える経験豊富なプロフェッショナル講師が在籍しています。 当校では、短期間で効率的に語学を習得していただく事を重視して、「わかりやすい日本語で、論理的に教える事ができる」事が講師に求められています。 特に英語以外の言語は、初めて学ぶ方が多く、習得まで与えられる時間が多くない事から必須のスキルだと考えます。また、受講者様のニーズをしっかりキャッチして、それをレッスン内容に反映する能力=コミュニケーション能力を講師に要求しています。 教授メソッドの再現性が求められる画一的・マニュアル的な大手スクールとは違う、オーダーメイドのスクールならではレッスンをご提供しております。