ビザ(査証)とは
そもそもビザ(査証)とは、渡航先の国が入国を許可するために発行する「入国許可証」のようなものです。出国前に渡航先の大使館や領事館で申請を行います。
また、パスポート(旅券)は日本政府が発行しており、日本人の「身分証明書」の役割を果たしています。
日本人が海外に行くときは、必ず身分証明書となるパスポートを取得しなければなりません。しかし、ビザは渡航先によって免除される国・条件があるため、事前に要否を確認しておきましょう。
ビザが免除になる条件
ビザはすべての国で必要なわけではありません。日本との交流が盛んで、入国にビザを必要としない協定を締結している国なら、日本のパスポートだけで入国できます。
基本的には、短期滞在・観光などの旅行目的であればビザ免除の対象となりますが、長期滞在・商用目的などであれば用途にあったビザの取得が必要になる国も多いです。
そのほか、パスポート残存期間、パスポートの未使用査証欄頁数、ESTA・ETA・ETAS(電子渡航認証)の取得、出国航空券、海外旅行保険等の必要書類の所持、滞在費用などの要件が求められるケースがあります。
最新の状況は渡航先の国の大使館・総領事館のホームページなどを確認してください。
日本人がビザなしで行ける国の特徴
日本は世界各国から高い信頼を得ており、日本のパスポートを所有している場合、194の国や地域でビザなしのアクセスが可能です。(2024年「ヘンリー・パスポート・インデックス」調べ)
日本との交流が盛んであったり、社会情勢が安定していたり、相互にビザ免除の協定を結んでいる国は、ビザ不要であることが多いです。たとえば、日本のパスポート所持者は現在、シェンゲン協定加盟国すべてにビザなしで渡航できます。(旅行・ビジネス・トランジット目的で90日以内の滞在の場合)
【シェンゲン協定加盟国】
アイスランド、イタリア、エストニア、オーストリア、オランダ、ギリシャ、スイス、スウェーデン、スペイン、スロバキア共和国、スロベニア、チェコ共和国、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、ハンガリー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポーランド、ポルトガル、マルタ、ラトビア、リトアニア、リヒテンシュタイン、ルクセンブルク
シェンゲン協定加盟国は主にヨーロッパ諸国で構成されています。
そのほか、海外旅行先として人気のアメリカやカナダ、オーストラリア、韓国、台湾、タイニ、ニュージーランドなどもビザなしで渡航可能です。
ビザなしで行ける国にはどれくらい滞在できる?
日本人がビザなしで行ける代表的な国と滞在期間について解説していきます。
ビザが免除される条件は国によって異なり、事前にオンラインで渡航認証を申請する必要があるケースも。最新情報は各国の大使館・領事館で確認するようにしてください。
アメリカ(滞在期間 90日以内)
アメリカでは短期商用・観光・乗り継ぎ等の目的で滞在期間が90日以内の場合、ビザ(査証)が免除されています。ただし、事前にオンラインで渡航認証(ESTA)を取得しなければなりません。
前もってESTAの認証を取得していない場合、航空機等への搭乗やアメリカへの入国を拒否されるため注意しましょう。一度ESTAの認証を受けると2年間有効です。ただし、2年以内にパスポートの期限が切れる場合は、パスポートの有効期限日をもって無効になります。
オーストラリア(滞在期間 3ヶ月以内)
オーストラリアに3ヶ月日以内の観光又は商用の目的で滞在する場合、ビザ(査証)は免除されますが、渡航前にオンラインで電子渡航認証(ETAS)を受ける必要があります。ETASの有効期限は、取得日から原則1年間です。
ニュージーランド(滞在期間 90日以内)
ニュージーランドに入国する際、観光・商用等を目的とする90日以内の滞在であればビザは不要です。2019年から、 電子渡航認証(NZeTA)と観光税(IVL)支払いの事前手続きが必要となっています。
パスポートの有効期限はニュージーランド出国予定日より3ヶ月以降であることが入国条件の一つです。
シンガポール(滞在期間 30日以内)
シンガポールでは、30日以内の観光・商用・外交・公用目的の場合ビザなしでの滞在が可能となります。2022年よりシンガポールに到着する全ての外国人訪問者は、入国スタンプの代わりに電子メールで電子訪問パスを受け取ります。
シンガポール入国時に滞在予定日数+6ヶ月以上のパスポート残存有効期間が必要です。
カナダ(滞在期間 6ヵ月以内)
カナダに観光や短期留学で6か月以内の滞在をする場合、ビザが免除されます。ただし、事前にオンラインで渡航認証(eTA)を受けなければなりません。
なお、カナダ政府は、eTA申請時に一人当たり7カナダドルを課しており、有効期間は最長5年間(またはパスポートの有効期限)までとしています。
台湾(滞在期間 90日以内)
台湾は、日本人に対し観光等の目的で90日以内の滞在についてはビザを免除しています。もし許可された期間を超えて滞在した場合には、法令違反(オーバーステイ)となり、罰金が科せられるほか、退去強制処分となることもあるので注意しましょう。
また、ビザなしで滞在可能な渡航目的以外で滞在する場合は、事前にビザの取得が必要となります。 事前に 台湾大使館ま たは 代表処 において目的のビザ申請・取得をしましょう。
タイ(滞在期間 30日以内)
タイでは観光・商用目的の場合、30日いないの滞在であればビザの取得を必要としません。パスポートの有効期限がタイ入国日から数えて6ヶ月以上であること、タイから出庫啜るための予約済み航空券が確認できることなどが条件となっています。
フィリピン(滞在期間 30日以内)
フィリピンでは、観光目的や商用目的かつ滞在期間が30日間以内であれば、事前のビザなしで訪問できます。また、フィリピンを出国することが確認できる航空券などが必要です。
ただし、入国・出国審査にあたり有効なパスポートに加え、eTravelへの登録が必須となります。
ベトナム(滞在期間 45日以内)
ベトナム入国については、入国日から15日以内であったものが45日以内の滞在については、原則としてビザ免除と変更になりました。(2023年8月)
また、日本など80カ国を対象とした電子ビザの有効期限が、現行の30日間から90日間に延長されています。
イギリス(滞在期間 6ヵ月以内)
イギリスへの観光、親族・知人訪問、商用、短期留学などを目的とする滞在であればビザなしで6ヵ月間の滞在が可能です。ただし、入国時にそれぞれの渡航目的に応じた滞在許可が与えられるため、渡航目的を立証する資料を用意しておきましょう。
ただし、2025年より事前渡航認証制度(ETIAS)の導入が予定されているため、施行後は事前にオンライン申請が必要となるケースがあります。
フランス/イタリア/ドイツ など(滞在期間 90日以内)
フランスをはじめ、主にヨーロッパ国家間で締結されているシェンゲン協定に加盟している国では、観光や知人訪問などを目的とした180日の期間内で最大90日間を超えない短期滞在について、ビザの取得が不要です。
日本人旅行者もシェンゲン協定により短期滞在ビザを免除されます。また、シェンゲン協定域外から域内に入る場合、最初に入域する国において入国審査が行われ、その後はシェンゲン協定域内の他国へ移動をしても、原則として入国審査が行われません。
2025年に導入が予定される電子渡航認証システム(ETIAS)が施行された際は、パスポートのみでの入国は認められず、渡航前にETIASを取得する必要があります。
ビザなしで海外へ行くときに申請手続きが必要なもの
ビザなしで海外へ渡航する際に申請手続きが必要となる代表的な持ち物と申請方法を紹介します。
パスポート
海外旅行で必ず用意しなければならないのがパスポート(旅券)です。ほとんどの国では、入国・滞在を許可する条件としてパスポートの携行が求められます。また、日本でも出国・入国する際にパスポートが必要です。
パスポートは住民登録をしている都道府県のパスポート申請窓口に申請します。申請してから取得するまでに1週間程度かかるため、早めに準備しておきましょう。
航空券
出国日と帰国日が決まったら、航空券を手配します。とくに大型連休や年末年始などの繁忙期はすぐに予約が埋まってしまうため、3カ月以上前に手配を完了させておきたいところです。
入国審査時などで航空券の提示を求められることがあります。控えをコピーして印刷しておいたり、Eチケットの場合はスマホ画面を表示できるように準備しておいてください。
電子渡航認証(一部の国と地域のみ)
ビザなしで渡航できる場合でも、一部の国と地域では電子渡航認証を事前に申請することを条件としているケースがあります。
【主要国の電子渡航認証】
電子渡航認証名 | 必要な国 |
ESTA | アメリカ |
eTA | カナダ |
ETAS | オーストラリア |
ETA | スリランカ |
K-ETA | 韓国 |
ETIAS(※2025年より申請が必要) | ヨーロッパの対象国 |
まとめ
日本人が海外へ旅行やビジネスで渡航する際、多くの国では「ビザなし」で入国できます。ビザなしで滞在できる期間は国によって異なりますが、大体30日〜90日間と覚えておきましょう。
また、パスポートや電子渡航認証など、事前に申請しなければならないものもあります。詳しい情報は、渡航先の国の大使館や領事館のホームページで必ず確認してください。
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